10 各論4:細菌(1)球菌のグラム陽性(1)

細菌はそのまま話を進めると分量が多すぎて訳が分からなくなります。

だからこそ「分類(仲間分け)」が大事な目安になるところです。

「形」、「グラム染色」、「酸素好きか否か」、

そして「芽胞を作るか」の分類がよく出てきますよ!

 

「形」は「球菌(ボール状)」、

「桿菌(細長いボール状)」、「らせん菌(ねじれてる)」に分けられます。

注意が必要なのはらせん菌。

「らせん」といいつつ、

くの字型に折れているだけでもここに含まれてきますからね。

 

「グラム染色」は総論のところでおはなししましたね。

紫色がグラム(+)、赤色がグラム(-)。

細胞壁の外側に何があるか…というところでした。

 

「酸素好きか否か」は「好気性(酸素好き)」、

「通気性(どっちでも)」、「嫌気性(酸素嫌い)」に分けられます。

 

そして芽胞という特殊休眠形態は消毒薬の強さに関係していましたね。

芽胞を作るのは桿菌だけなので、そこでだけ出てくる分類です。

 

この先の進め方ですが、

まず球菌、次に桿菌、最後にらせん菌と進めていきます。

そして同じ形の中でも先にグラム(+)、

あとからグラム(-)と分ける予定です。

「好気、通気、嫌気」、「芽胞を作るか」については

該当する部分で一言明示していきますからね。

 

(1)球菌のグラム(+)

球菌のグラム陽性菌で、看護師国家試験に関係してくるのは好気性菌ばかり。

嫌気性菌もいることはいますが…

「このブロックは好気性菌だ!」と勉強をすすめてかまいませんよ。

具体的に紹介するのは「ブドウ球菌」、「レンサ球菌」、「腸球菌」です。

 

A ブドウ球菌

ブドウの房のように増殖するブドウ球菌の中には、

たくさんの種類があります。

その中で名前を覚えなくちゃいけないのは、

表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌。

表皮ブドウ球菌は皮膚常在菌。

悪さをするとしたら、易感染状態(日和見感染)くらいです。

明らかな病原性を示すのは、黄色ブドウ球菌ですね。

 

黄色ブドウ球菌は健康な人でも3~4割の人の鼻腔内にいる細菌。

一度増殖が活発化すると、多くの酵素や菌体外毒素を作る困りものです。

掻き傷でどんどん広がる伝染性膿痂疹(とびひ)、

表皮だけがはがれてしまう剥脱性皮膚炎、中耳炎だけでも大変です。

さらに怖いことに、食中毒や毒素性ショック症候群の原因でもあります。

 

食中毒を引き起こすのは腸管毒(エンテロトキシン)。

毒素タイプの食中毒で、

食べて3時間ほどで吐気・嘔吐、腹痛や下痢等の症状が出てきます。

できた毒素は耐熱性(100℃に30分以上耐える)なので、

加熱では防止できません。

黄色ブドウ球菌自体は加熱で殺せても、

毒素が残っていたら…食中毒を起こしてしまうのです。

 

毒素性ショック症候群は

「毒素性ショック症候群毒素-1(TSST-1)」によって

ショック状態に陥るもの。

発熱・発疹・発赤だけでなく、血圧低下を起こす可能性があります。

血圧低下はひどくなると脳などの重要器官に血液が届かなくなる大ピンチ!

タンポンの長期間挿入で

毒素性ショック症候群が起こった例が報告されていますよ。

 

このようにいろいろな悪さをする可能性のある黄色ブドウ球菌が、

薬剤耐性を持つと結構厄介です。

代表は細菌に効く薬(抗生物質)のメチシリンに対して

耐性のできてしまった「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」。

MRSAの感染は、主に手指や医療器具での接触です。

院内感染が怖いので、しっかりスタンダード・プリコーションですよ!