10 各論4:細菌(2)球菌のグラム陰性
球菌のグラム陰性菌のおはなし。
こちらも、看護師国家試験に関係があるものは
酸素好き(好気性菌)ばかり。
髄膜炎菌と淋菌についてのおはなしです。
A 髄膜炎菌
髄膜炎菌は、その名の通り髄膜炎の原因です。
髄膜炎の原因は、この菌だけではないことに注意しておきましょう。
つい先ほど(球菌グラム陽性菌で)出てきた
レンサ球菌のストレプトコッカス・アガラクティエの
新生児感染でも、髄膜炎ですよ。
「肝炎の原因が肝炎ウイルスだけではない」ことも、
一緒に意識しておきましょう。
表面に莢膜を持ち、健康な人でも5~15%の鼻腔内にいるとされています。
「いる」だけならいいのですが、
粘膜に入り込んでしまうと髄膜へ向かい、炎症を起こしてしまいます。
B 淋菌
決して「過去の性病」と言えないのが淋菌の引き起こす淋病。
男性では激しい排尿痛や排膿のある急性尿道炎。
女性では尿道炎、膣炎、子宮頸管炎を起こしますが、
帯下増加ぐらいしか目立った症状が出ないことも。
男性は病院へ駆け込み、
女性は気付くことなくそのまま…なんてことがありえます。
どちらも放置すると(精巣上体炎や卵管炎、骨盤腔炎によって)
不妊症の原因になりえます。
ヒトからヒトへの感染ルートは、性行為による直接接触ですね。
オーラルセックスで、咽頭炎になることもあります。
あとはタオル共有によって結膜炎が起こることも。
そして出産時の経産道感染も問題になります。
新生児に膿漏眼(化膿性結膜炎)が出てしまうとかわいそうですから、
抗菌剤や硝酸銀水溶液の点眼(クレーデ法)が行われますよ。
さらに淋病を治療しても、
淋病後尿道炎(PGU)が出てくることがあります。
これは淋菌と一緒にクラミジアにも感染していたから。
淋病と分かったら、クラミジアも一緒に治療しておきましょう。
クラミジアは細菌ブロックの最後に
「特殊な菌」として紹介しますからね。