5 脳神経系と内分泌系のおはなし(19)
大脳のすぐ下、間脳のおはなしに入ります。
間脳は「記憶」「情報整理地点」「ホルモン産生地点」がキーワードです。
ホルモン産生地点は、視床下部と下垂体のこと。
ここは、神経系の後に控える「内分泌系」で出てきます。
だから、ここでは「間脳に視床下部と下垂体があるんだね!」でオッケー。
情報整理地点は、視床のこと。
視床下部は、視床の下にある…文字通りですね。
そして、とても多くの情報が通るところです。
大脳に向かう情報、大脳から出た命令。
それに、この後おはなしする運動担当の小脳に出入りする情報もここを通ります。
情報の種類だけでも分けておかないと、大変なことになります。
だから、大まかに「視床のどこを通るか」で、
情報の向かう先を分けています。
私たちも車でどこかに向かうとき、
車線の多い道路では車線によって行先が決められていますよね。
事故防止のため、あらかじめ分けておく…同じことです。
ここの分類は細かすぎるので、聞き流してください。
視床の前は、海馬・帯状回からの情報を大脳辺縁系全体に伝えます。
視床の後ろは、視神経や聴神経からきた情報を大脳の側頭葉・後頭葉に伝えます。
視床の内側は、感覚情報全体を大脳前頭葉に伝えます。
視床の外側は、小脳からの情報と皮膚や内臓からの情報を
大脳の体性感覚野(大脳の前頭葉と頭頂葉の境界付近:前頭葉側)に伝えます。
伝わった情報を統合・総合し、判断・命令は大脳の役割でしたね。
…うん、大脳の4区分とそれなりに対応していることは分かったよ。
でも視床前部のその書き方、情報が同じところ回ってない?
よくぞ気付いてくれました!
そこが「記憶」と「情報整理地点」をつなぐ鍵になるところです。
そしてその「情報がぐるぐる回るところ」を「パペッツ回路」と言います。
帯状回から海馬傍回、そこから海馬、脳弓、乳頭体、視床前部…。
あとは最初に戻って、またぐるぐる。
回るところの働きをまとめると、
記憶と感情がミックスされつつ、ある程度一般化しうる情報として思い出せることに。
これ、動物が生きるために必要な、とても大事な記憶です。
だから、記憶しやすく、忘れにくい記憶として残るのです。
そしてようやく「暗記のためのテクニック」の根拠に到着!
このパペッツ回路に入りやすい情報は、意欲・覚醒・感情興奮に関するもの。
勉強も「よっしゃやるぞ!」と意欲を持ち、
「頭、シャキーン!」と覚醒させて、
「面白そうだ、ドキドキ…」と感情興奮を持って取り組めば、
頭に入りやすく、忘れにくい記憶の出来上がりです!
視覚情報は視床を通りますが、嗅覚情報は視床を通りません。
これは嗅覚情報が交通整理を不要として優遇されているということ。
優遇の理由は、大脳辺縁系の説明から分かりますよね。
次回は間脳の補足をしてから、小脳のおはなしに入ります。