12 各論6:細菌(4)細菌の特殊組(2)
C クラミジア
クラミジアも、リケッチア同様
生きた細胞内でしか生きられません(偏性細胞内寄生性細菌)。
ただ、クラミジアは介在生物いらず。
細胞外生存に適した「基本小体」という形で生きた細胞内に入り込み、
細胞の中で「網様体」という分裂・増殖可能な形になります。
成熟すると、
網様体は基本小体を作って細胞外へと出ていくライフサイクルです。
クラミジアが原因になる病気と言えば、
トラコーマ、クラミジア肺炎、オウム病。
それぞれ別のクラミジア菌が原因です。
肺炎全体の約10%を占めるクラミジア肺炎のもとが「肺炎クラミドフィラ」。
鳥類の肝臓や脾臓で増えて、
ヒトが排泄物を吸入することで肺炎(オウム病)を引き起こすのが
「オウム病クラミドフィラ」。
慢性角結膜炎(トラコーマ)の原因になる「トラコーマクラミジア」です。
特に注意が必要なのがトラコーマクラミジア。
トラコーマは感染したヒトの眼から、
手やタオルを介して他の人へと移っていきます。
しかも治療しないと失明の危険もあるため、軽視できません。
だから学校も「伝染の恐れがないと医師が認めるまで」出席停止
(学校保健安全法の第3種)になりますよ。
トラコーマクラミジアが怖いのは眼だけではありません。
尿道炎や頚管炎を引き起こす「性器クラミジア感染症」の原因です。
性器クラミジア感染症は、
STD(STI)の中で最も多い感染割合を誇ります。
妊婦健診では2.4%の妊婦で見つかり、
10代妊婦に限定すると15.3%(6~7人に1人)で感染が見つかります。
しかも、引き起こす病気は単なる尿道炎・頚管炎ではありません。
男性では淋菌感染時よりも痛みは軽く、透明分泌液が出るだけですが…
放置すると前立腺炎や精巣上体炎に!
尿の出や生殖そのものに影響が出てくる可能性があるのです。
女性ではさらに軽く、気付かない人が大部分。
知らずに相手に移し…放置で不妊や子宮外妊娠の可能性が出てきます。
また、運良く妊娠・出産できても
出産時に子に移してしまい(経産道感染)、
新生児肺炎や結膜炎の原因になってしまうことも!
加えて性病性リンパ肉芽種になる可能性すら残っています。
このように個人レベルで怖いだけでなく、
「次世代」への影響の意味でも重大なので、
感染症法第5類の定期届出(泌尿器科・産婦人科の月1回報告)
対象になっているのが、「性器クラミジア感染症」です。
「性器」とありますが、
性行為多様化により咽頭炎の原因でもありますからね!
以上が「細菌」のおはなしでした。
かなりの種類と数になりましたね。
「形」と「グラム陽性(+)か、陰性(-)か」、
あとは「酸素好き(好気性菌)か否か(嫌気性菌)」で
大きく分けてありますので、自分でもまとめてみてくださいね。
そこに「ちょっと違う!(特殊組)」と
「結核菌、らい菌のいる抗酸菌」のグループを加えることをお忘れなく!