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14 各論8:ウイルス(2)RNAウイルス(9)

I オルトミクソウイルス科

オルトミクソウイルス科といえば、

文句なくインフルエンザウイルスでしょう。

インフルエンザウイルスは、

大きくA、B、Cの3型に分けることができます。

これはウイルス内部のタンパク質の違い。

C型は年中小さく流行する、かぜ症候群の原因。

感染症法で届け出対象になるのは、A型とB型(5類)、

鳥にも感染する鳥インフルエンザ(特定のものは2類、基本は4類)、

そして未知のインフルエンザウイルスによる

「新型インフルエンザ」ですね。

 

インフルエンザウイルスには、

A、B、C以外のもっと小さなグループ分け(亜型)があります。

特にA型インフルエンザウイルスでは

多くのグループに分かれていますよ。

これはウイルス内部タンパク質をもっとしっかり見たとき、

「細胞に感染するために必要なタンパク質(HA)」と、

「増えた後、

細胞の外に出ていくのに必要なタンパク質(NA)」のグループ分け。

HAは16種類、NAは9種類あります。

だから鳥インフルエンザで

2類感染症になっているもの(H5N1、H7N9)は、

A型インフルエンザウイルスで、

「感染用が5型で脱出用が1型の組み合わせ」と、

「感染用が7型で脱出用が9型の組み合わせ」という意味ですね。

特に感染用が5型と7型では強い感染性を示すことが分かっています。

B型インフルエンザウイルスは

2グループ(山形系統とビクトリア系統)しかありませんよ。

 

インフルエンザウイルスは飛沫を介した上気道感染。

上気道で増えるので、咽頭痛、咳、鼻水が出ます。

咳と鼻水によって、さらに他の人へと飛沫感染ですね。

咳は1.5m、くしゃみは5m近くも飛んでいきますよ。

ここまでは「かぜ?」ぐらいの症状ですね。

さらに増えたウイルスが血液中に出て、

下痢・腹痛等の消化器系症状や全身症状のスタート。

発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感…

これがインフルエンザです。

乳幼児ではけいれん、意識障害、異常行動を伴う

「インフルエンザ脳炎・脳症」を起こす可能性が高くなります。

 

次回はインフルエンザ予防接種のおはなしです。