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3 総論:侵入経路(1)動物由来

微生物の侵入経路と免疫のおはなしに入ります。

先に、侵入経路(感染経路)のおはなし。

免疫のおはなしは復習になるので、あとで簡単にまとめる予定ですよ。

 

侵入経路について考えるとき、

「直接ヒトから異物が侵入する」ものと、

「ヒト以外から異物が侵入する」ものに分けることができます。

まずは「ヒト以外から異物が侵入する」ものについて。

分かりやすいのが「動物から移る」ですね。

 

動物(リザーバー)の体の中に微生物がいて、

それがヒトの体の中に入り込むことがあります。

これが動物由来感染症。

「人獣共通感染症」ということもありますね。

介在生物(ベクター)を経由することもありますよ。

 

介在生物を必要とする例としては、

発疹チフスやツツガムシ病を引き起こす

リケッチアを覚えておきましょう。

ダニ等の節足動物による介在がないと感染しませんから、

ダニ等を退治すれば感染を防げますね。

リケッチアは細菌の一部ですが…ちょっと特殊。

細かいことは、今、気にする必要はありません。

「ダニときたらリケッチア!発疹チフスやツツガムシ病!」と

頭の片隅に入れておいてくださいね。

 

他にも動物から移るものがありますよ。

犬からは狂犬病(ウイルス)、

蚊からはマラリア熱(原虫)やデング熱(ウイルス)。

飼い犬に対しては狂犬病の予防接種の機会がありますが…。

海外で野犬に噛まれたら、

たとえヒトが狂犬病のワクチンを接種していたとしても、

すぐに正しい治療を受ける必要がありますよ!

現在日本では狂犬病の発生が報告されていませんが、

飼い犬の予防接種をお忘れなく!

 

動物から直接…とは言わずとも、

動物の糞便から微生物が侵入してくることがあります。

ネコのサイトメガロウイルス症、

オウムからのオウム症(クラミジア)、

鳥全般からのカンピロバクター(細菌)などが例ですね。

動物糞便からヒトへの侵入は、

すぐ後におはなしする「飲食物から移る」ことが多いですね。

動物を触った後(又は糞便処理をした後)、

手を良く洗わずに食べ物に触ったら、

それも「飲食物から移る」ことになります。

 

クラミジアというのも細菌の一部ですが…これもちょっと特殊。

リケッチアとの違いは、媒介生物いらずということです。

「細菌グループだけど、ちょっと特殊!

リケッチアともまた違う!」でオーケーです。

クラミジアはトラコーマと尿道炎、あとはオウム病ですからね。

 

また、補足でおはなししたキツネからのエキノコックス(寄生虫)も

動物糞便経由でヒトに侵入してきますね。