4 総論:免疫(2)獲得免疫
獲得免疫のスタートは、マクロファージによる抗原提示。
食べた異物(抗原)の特徴的な部分を表面に出し(抗原提示)、
ヘルパーTリンパ球に見てもらいます。
抗原を確認したヘルパーTリンパ球は、Bリンパ球に抗体を作らせます。
できた抗体は異物を捕まえて、
好中球やマクロファージの働きを助ける…
これが「(体)液性免疫」です。
少し細かく見るとヘルパーTリンパ球が分化したTh2リンパ球が、
Bリンパ球に抗体作成を要請します。
要請を受けたBリンパ球は形質細胞になってから抗体を産生します。
侵入者(抗原)情報の記憶・記録は、
ヘルパーTリンパ球が分化せずに残ったメモリーTリンパ球や、
形質細胞にならなかったBリンパ球が担当しますよ。
抗体を主にした(体)液性免疫で異物を排除できればいいのですが…。
細胞内にまで微生物に入り込まれてしまったら、
「細胞性免疫」の出番です。
ヘルパーTリンパ球が、Tリンパ球(Th1)に分化して、
キラーTリンパ球(キラーT細胞)に抗原情報を提供。
キラーTリンパ球は細胞表面にある抗原を見つけると
(=細胞内に微生物が入り込んでいる)細胞ごと異物を処分してしまいます。
こうして微生物による被害は最小限に抑えられるのです。
これらの免疫は担当細胞1個ずつだけで出来ているものではありません。
いざ「微生物の侵入発見!」というときには、
全身を血液にのってパトロールしている他の白血球に応援要請を出して、
集まってもらう必要があります。
そこで使われるのが
「サイトカイン(出す細胞によってはリンホカイン、モノカインとも)」です。
「細胞間情報伝達物質」と呼ばれる、分泌型のタンパク質です。
ホルモンとの違いは、届く場所。
ホルモンは血液にのって遠くの標的細胞(標的器官)に届きます。
サイトカインは侵入された場所(炎症部位)や
白血球の分裂・増殖が必要な場所(胸腺・骨髄・脾臓)で働くのみ。
「遠くまで行かない!近くの細胞にだけ届けばいい!」
これがサイトカインです。
ちょっぴり補足。
リンパ球の成熟に関係するところは「中枢リンパ組織」と呼ばれます。
胸腺(Tリンパ球)、骨髄(Bリンパ球)、
そして胎児期の肝臓(胎児期は造血作用あり)ですね。
それ以外のリンパ球がたくさんいるところは「末梢リンパ組織」。
各リンパ節と、脾臓のことです。
脾臓には免疫に関係している白脾髄があったことを思い出しましょう。
脾臓で抗体を産生することもありますからね。
サイトカインにおはなしを戻して。
サイトカインの役割は「応援要請(炎症性サイトカイン)」だけではなく、
「リンパ球の増殖・分化」、「造血幹細胞の増殖・分化」、
「細胞の走化因子」などと分けられます。
でも看護師国家試験で出てくるとしたら、
「応援要請(炎症性サイトカイン)」だけなので
そこにしぼっておはなししますね。
ちょうどいいので、「炎症」のまとめもしていきましょうね。