4 総論:免疫(4)感染
侵入部位としての「炎症」についてまとめました。
これで微生物を諸部できれば、炎症が引いていきます。
処分しきれないと…「感染」ですね。
今度は局地戦ではなく、総力戦のスタート。
「全身の発熱」や
「倦怠感、食欲不振、傾眠」といった「急性期反応」が出てきます。
また「発疹」等による徴候や、
せき・くしゃみのような軽度な症状から
神経麻痺やけいれんといった重度な症状が出てくることもあります。
先に急性期症状についてまとめて、
その後で微生物の毒性によって起こる各徴候や代表的な症状を整理していきましょう。
急性期反応で最も特徴的なのが全身の発熱(37.5℃以上)。
炎症性サイトカインを受けて、
炎症物質プロスタグランジンE2が脳でもたくさん出ます。
それによって体温中枢が
「大変!体温上げなくちゃ!」と設定温度を上げてしまうのです。
特定の微生物に入り込まれたときには、特徴的な熱が出ます。
代表的なものだけ覚えてしまいましょうね。
1日中38℃以上の高熱で、日内差が1℃未満のものを「稽留熱」といいます。
腸チフスと化膿性髄膜炎(細菌性髄膜炎)で出る熱ですね。
日内差が1℃以上ある者は「弛緩熱」。
これが多くの感染症で見られる一般的な「熱が出た!」です。
ある日は高熱、次の日は平熱…を繰り返すものが「間欠熱」。
細菌性膿瘍(細菌感染で、膿がたまった状態)で出る熱です。
間欠熱の一種ですが、規則正しい周期で熱が出るものが「周期熱」。
1日おきに熱が出る三日熱マラリアと、
2日おきに熱が出る四日熱マラリアが代表です。
マラリアには他の種類もありますが、
「マラリア原虫が増えて、血液中に出てくると熱が出る!」と
覚えておきましょうね。
規則性がない熱は「回帰熱」、
3週間以上原因不明の熱が続くと「不明熱」です。
不明熱は感染症のこともありますが、
腫瘍や膠原病(自己免疫疾患)のこともあります。
「熱が出た!」からといって、微生物侵入とは限りませんからね!
熱が出ると「だるい(倦怠感)」、「食べたくない…(食欲不振)」、
「うとうと…(傾眠)」が出ることも多いですね。
これらは炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-α、IFN-γ)が中枢に働いたもの。
全身を休息と睡眠モード(副交感神経系優位状態)に誘導して、
全力で微生物排除に取り掛かれるようにしているのです。
こんなときに無理をしても、何一ついいことはありません。
体からのサインに従って、しっかりと休息をとってください。
そうすれば微生物を早く排除できる可能性が高まりますよ。