7 生殖器系のおはなし(1)
生殖器系のおはなしにはいります。
生殖器系は、新しい生命を作り出すためのもの。
だから主役は「新しい生命のもと」になる
精子と卵子…生殖細胞です。
生殖細胞である精子と卵子さえあれば、子孫はできる?
確かにこの2つが受精すれば、受精卵(子)ができます。
でもそのままでは細胞分裂中に栄養が切れてしまいます。
ヒトの体を完成させることができないのです。
だから生殖細胞を作るための器官と、
新しい命が育つための器官の理解も必要になりますね。
最初は、生殖細胞の理解から。
生殖細胞は「減数分裂でできた、
DNA量が半分の特別な細胞」です。
どうして、特別な細胞を作る必要があったのか。
新しい命を作るためには、
2つの生殖細胞が「受精」する必要があります。
受精は、2つの細胞の中の遺伝情報を合わせること。
核内にしまうDNAの量が2倍になります。
もし体細胞で受精できたなら、
できた子の核内のDNA量は2倍になります。
…従来のDNA量だけでも多いのに、
もうギュウギュウです。
さらに、もし孫ができたら
核内DNA量は2倍×2倍の4倍です。
核…はちきれちゃいますね。
これでは細胞内小器官としてやっていけず、
子孫を残すことができません。
だから、最初の「生殖細胞」のDNA量を
半分にすることにしたのです。
…新しい命を作るのに、
どうして2つの細胞の遺伝情報を合わせることにしたの?
相手探す手間もかかるのに…
それは情報に多様性を持たせるためです。
生物によっては、
自分だけで子孫を残せるものもあります。
子孫という名の、自分の100%コピーですね。
でも、ある日突然、
何らかの環境変化が起こったとします。
気温や湿度、日射量等の長期的変化…
ひどいものだと恐竜の絶滅原因になった
気候の大変動も「環境変化」です。
子孫が自分の100%コピーだと、
自分が耐えられない環境変化には子孫も耐えられません。
でも、他の情報が入っていれば、
もしかしたら生き残れる子孫がいるかもしれません。
種の情報を、先の代へとつなげる可能性が出てくるのです。
情報に多様性を持たせることは、
種の保存という意味で、とても大事なことなのです。
そんなこんなで、
生殖細胞はDNA(遺伝情報)量を半分にすることで、
情報の多様性を確保しつつ、
情報保存場所である核のパンクを防ぐことにしました。
次回は、核内にあるDNAについておはなししましょう。
細胞分裂のときに出てくる
「染色体」のおはなしになりますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221025更新)