13 酸とアルカリのおはなし(3)

前回までのところを一度まとめておきますよ。

ヒト血液の正常pHは7.35~7.45

正常域より酸性になる(数字が小さくなる)のがアシドーシスで、

アルカリ性になる(数字が大きくなる)のがアルカローシスです。

肺が原因だと「呼吸性」の接頭語が付きます。

窒息は二酸化炭素を吐き出せない「呼吸性アシドーシス」で、

過換気症候群は二酸化炭素吐き出しすぎの「呼吸性アルカローシス」

肺以外が原因だと「代謝性」の接頭語が付きます。

下痢、腎不全、糖尿病が「代謝性アシドーシス」の例で、

嘔吐が「代謝性アルカローシス」の例です。

できればただの暗記ではなく

「水に溶けて酸性の二酸化炭素が多すぎだから!」

「体の中の酸性が出て行っちゃったから!」と原因・理由から理解してくださいね。

 

さて、ひとまとめして分かってくれたと思いますが、

ヒト血液のpHはちょっとしたことで変化してしまいます。

お腹を壊したら代謝性アルカローシスになって、

細胞が生きていくのに適した環境じゃなくなった…では困りますね。

それに細胞は、代謝の結果ATPだけではなく二酸化炭素(と水)を作ります。

二酸化炭素で、血液がすぐに酸性に傾いてアシドーシス…ではやってられません。

だから、ヒトの体には「緩衝系」というものがあります。

「(pH変動の)衝撃を、やわらげる(緩やかにする)」で、緩衝系です。

緩衝系にもいろいろな種類がありますが、

最初は「赤血球の炭酸水素緩衝系」を理解しましょう。

 

赤血球は毎度おなじみ酸素を運んでくれる血球です。

酸素を細胞に運ぶ片手間に、

血液pHまで守ってくれる本当にすごい働きです。

赤血球に心からの感謝をしつつ、何をしているかを確認しましょう。

 

赤血球は、細胞から出された二酸化炭素を内側に取り込みます。

血液中の水も中に取り込んで、

2つをくっつけて炭酸水素(H2CO3)を作ります。

これなら二酸化炭素が血液に溶けていませんから、

血液のpHは酸性に傾きません。

このまま肺まで運んで行って、肺で二酸化炭素を体の外へ。

水はそのまま血液へ。

これなら、血液中に酸性を示すものが増えても何とかなりそうです。

血液中にアルカリ性を示すものが増えても対応できますよ。

例えば重炭酸イオン(HCO3)が増えたら、それも赤血球の中へ。

今度は水素イオン(H+)を取り込めば、

これまた炭酸水素(H2CO3)の出来上がりです。

肺で二酸化炭素として出せば、これまた一安心です。

 

「あれ?肺と腎臓の働きどちらにも関係してる…?」

 

大当たり。

赤血球の炭酸水素緩衝系は、体内の2大調節器官「肺と腎臓」をつないでいるのです。

酸素を運ぶ意味でも、pHを守る意味でも。

赤血球には頭が上がりませんね。