5 総論:国レベルの侵入を減らす方法(4)

「国レベルの微生物侵入を防ぐ対策」には、公衆衛生もありますね。

水系感染と上下水道の関係は、先におはなしした通り。

また、感染症法の最初におはなししたペストの対策になる

「野生生物の駆除」も公衆衛生の一環です。

人獣共通感染症のことを、ちゃんと思い出してくださいね。

これらはヒトの周囲環境にいる病原性微生物を直接的に減らす方法です。

 

他にも間接的に病原性微生物を減らす方法があります。

微生物そのものではなく、

「微生物の入り込んだ後(の影響)を減らす」のです。

予防接種と免疫の関係を思い出してくださいね。

 

予防接種は「定期接種」と「任意接種」の大きく2つに分けられます。

「任意接種」は文字からも分かるように、

個人が、自分の感染を予防するために任意にするもの。

原則として、自分のお金を払う(自己負担)予防接種です。

定期接種はさらに2つに分けられます。

病気の発生と集団での蔓延を予防することが目的なのが「A類疾病」。

個人の発症及び重症化を予防しつつ

集団での蔓延を予防することが目的なのが「B類疾病」です。

 

「A類疾病」に対しては

「受けるように努力する義務がありますよ(接種努力義務)」と

定められています。

具体的に対象を確認してみましょう。

結核、水痘、風疹、麻疹、ジフテリア、百日咳、破傷風、急性灰白髄炎、

日本脳炎、B型肝炎、Hib(インフルエンザ菌)、肺炎双球菌です。

今までの総論パートで出てきた名前が並んでいますね。

どれも

「ああ、これにかかる(この微生物に入り込まれる)と大変だ…」

というものばかり。

だから「発生予防と集団蔓延防止」のために

一次予防を終わらせておく必要があるのです。

 

予防接種で入れるもの(中身)で分けると、

生ワクチンは結核(BCG)、水痘、麻疹(M)、風疹(R)。

「MRワクチン」といったら、麻疹(M)と風疹(R)の混合ワクチンですね。

 

トキソイドはジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、急性灰白髄炎。

「DPTワクチン」は、

ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)の混合ですね。

3つの混合なので「3種混合」と呼ぶこともありますが…

「3種混合(DPT)」の他に

「新3種混合

(MMR:麻疹、風疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ:ムンプス))」

もあって、少しややこしい用語ですのでご注意。

Hib(インフルエンザ菌)と肺炎双球菌は「莢膜多糖体」ワクチン。

ようするに「細菌の周りを取り巻いているペタつく膜(莢膜)の多糖」を、

抗原として注射しているのですね。

イメージできなかった人は、微生物(細菌)の構造を復習ですよ。

そして注意。

このインフルエンザ菌は主に冬に大流行する

「インフルエンザ」の原因ではありません。

大流行する「インフルエンザ」の原因はインフルエンザウイルスです。

大流行している最中に、

その患者さんから見つかったせいで原因菌と思われたのですが…

結果として無関係だったので、誤解される名前だけが残ってしまいました。

でも(各論でおはなししますが)小児がかかると大変なので、

A類疾病として予防接種対象ですよ。

 

もう少し予防接種のおはなしは続きます。