10 脳神経系のおはなし(2)感染・腫瘍・脱髄性疾患(6)

非機能性腺腫の中には

完全無症状のものもありますが、

たいてい近く(下)にいる

視神経を圧迫してしまいます。

上四半盲や両耳側半盲が生じ、

放っておくと失明の可能性もあります。

だから非機能性腺腫でも

視力障害が出たらすぐに手術です。

 

機能性腺腫で一番多いのは

PL産生腺腫(プロラクチノーマ)。

プロラクチンは乳汁を産生させる働きのある

下垂体前葉ホルモン。

乳汁が必要ということは、正常なら児の出産直後。

児を育成する必要がありますから、

しばらく受精卵(を受け止める必要)はいりませんね。

だからプロラクチン過剰では

排卵が抑制されて無月経(不妊状態)になります。

男性では視力障害や下垂体機能低下症が出るまで

気付かないこともあります。

プロラクチン産生細胞が増えすぎて、

周囲の下垂体細胞は圧迫を受けてうまく働けず、

そのせいで易疲労性やインポテンツ、

脱毛等が生じたものが下垂体機能低下症です。

あとは成長ホルモン産生腺腫なら

末端肥大症や巨人症、高血圧や糖尿病が起こりやすく、

クッシング腺腫(ACTH産生腺腫)なら

満月用顔貌、中心性肥満、高血圧や糖尿病、

易感染性が起こりやすくなります。

成長ホルモン過剰は尿細管に働いて

ナトリウムイオンの再吸収を促進して、

血管平滑筋を肥大させることで

末梢血管の抵抗を上げるので高血圧になります。

同様に肝臓にグルコースを産生させつつ、

骨格筋や脂肪細胞にグルコース取り込みを減らす命令も出して、

さらに全身細胞にインシュリンに抵抗させることから

成長ホルモン過剰は糖尿病にもつながっていきますよ。

この辺りは内分泌系の復習ですね。

 

圧迫により視力障害が出たらこちらも手術!

手術が決まったら、口呼吸の練習をしておきましょう。

手術後の止血で、鼻腔内に止血用圧迫綿を留置するからです。

あとは場所の関係上、

手術後に尿崩症を起こすこともあります。

尿量は、しっかりチェックする必要がありますね。

髄液の漏れにも注意ですよ。

第4脳室で漏れがあると

第3脳室と第4脳室をつなぐ中脳水道が圧迫されて、

頭痛や吐き気から意識障害を起こすことがあります。

視力障害が出ないなら、

放射線療法やホルモン補充を含む薬物療法になります。

 

下垂体近くの視床下部下垂体茎や松果体で出来る腫瘍が、

胚細胞腫瘍。

珍しく悪性の高い腫瘍ですが、放射線療法がよく効きます。

5~30歳の若年者に多く、頭蓋内圧亢進症状が出てきます。

特に視床下部なら尿崩症の、

松果体なら眼球運動制限(上を向けない)の

合併が多くなります。