6 総論:個人(?)レベルの侵入を減らす方法(1)
個人(?)レベルの侵入予防として
「消毒・滅菌」と「スタンダード・プリコーション」のおはなしです。
医療職を目指す皆さんには、どちらも大事!
重要性を十二分に意識してほしいので、
先に「消毒・滅菌」のおはなしをしますからね。
「消毒」という言葉は、ごく日常的に使われています。
かたや「滅菌」の方は、
かなり意識しないと日常生活で見つけられないと思います。
この違いを、最初に確認しましょう。
まず、滅菌というのはそこにいるすべての微生物を殺すこと。
「全て」ですから、これなら微生物の侵入を心配しなくてもいいですね。
大事な防壁の皮膚や粘膜に傷をつける「手術等」のときには、
可能な限り滅菌したものを使いたいところです。
微生物の中で一番丈夫(殺しにくい)ものは「プリオンタンパク」。
…これを微生物かといわれると微妙なところではありますが、
少なくとも
「病気(クロイツフェルト・ヤコブ病)のもとになる有機物」なので
滅菌対象に入れておきますよ。
プリオンタンパクを滅菌するには
132℃で1時間、高い圧力をかける(高温蒸気滅菌法)必要があります。
でも「一般的な滅菌」ではそこまでの条件は必要になりません。
121℃、15~20分、2気圧で十分です。
この一般的な滅菌は「芽胞を殺せる」のが大事なポイントです。
芽胞というのは、特定の1つの菌を指す言葉ではありません。
各論のところでおはなししますが、
特定の細菌(桿菌の、グラム陽性菌で、嫌気性菌)が
休眠形態として作る丈夫なカプセルが「芽胞」。
増殖に適した環境になると、休眠から覚めて本来の細菌の姿に戻ります。
手術などで体の中に侵入してしまったら…
増殖に適した環境(温度、水分、栄養オーケー)になってしまいますよね。
だから「(手術のように)身体侵襲を伴う」ときには、
「芽胞を殺せるか」が大事なキーワードになるのです。