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12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑥パーキンソン病の薬(2)

2024年1月28日

レボドパの併用注意薬の続きです。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056046

他のパーキンソン病薬と併用すると、

精神・神経に対する作用が強く出てしまいます。

全身麻酔薬の中にはハロタンなどのように

ドーパミン受容体の感受性を高めるものがあります。

その薬とレボドパを併用すると、

不整脈等が出てしまう可能性がありますね。

血圧降下剤の一部はレボドパと併用すると

なぜか血圧降下作用が強く出てしまいます。

 

レボドパの効果が強く出る併用注意薬として、

NMDA受容体拮抗薬(メマンチン塩酸塩)があります。

NMDAというのは、N-メチル-D-アスパラギン酸のこと。

NMDA受容体拮抗薬は、

アルツハイマー型に代表される認知症のお薬です。

認知症には様々な型があります。

そのうちの1つ、

アルツハイマー型認知症の本当の原因は現在研究中です。

仮説の1つとして、

「グルタミン酸によるNMDA受容体への刺激が強すぎるから、

神経細胞が抜け落ちてしまうんだ」というものがあります。

それを邪魔するためのお薬が、NMDA受容体拮抗薬です。

 

最初から「レボドパと併用する」ことを前提とした薬もありますよ。

エンタカポンは、レボドパの代謝酵素(COMT)を邪魔することで、

レボドパの効きを良くする

(血中半減期増加、中枢神経到達量増加)薬です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066104

禁忌は本剤アレルギーに加えて、

悪性症候群と横紋筋融解症の既往がある人。

横紋筋融解症の原因としてすぐに思いつくのは

災害・事故後等の「クラッシュ症候群」かもしれませんが…。

熱中症をきっかけに横紋筋融解症が起こることもありますよ。

既往歴を聞くときには、

ちゃんと意識しながら確認してくださいね。

 

妊娠・妊娠可能性のある人や

授乳中の人は禁忌に含まれていませんが、

扱いとしては「やむを得ず」ですね。

乳汁移行があり、動物実験で胎児の骨化遅滞が報告され、

安全性は確立されていません。

小児についても、安全性未確立ですよ。

 

慎重投与対象は肝障害のある人と褐色細胞腫の人。

肝障害には既往も含まれますので、ご注意を。

 

エンタカポンの併用注意は、次回おはなししますね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20240128更新)