12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑥パーキンソン病の薬(3)

エンタカポンの併用注意ですね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066104

キレートを作ってエンタカポンの吸収を邪魔する鉄剤は併用注意。

エンタカポンが邪魔する酵素で代謝される薬を併用していたら、

併用薬の効果が強く出てしまいますね。

カテコラミン製剤は効果が強く出て、

血圧・心拍数変動や不正脈が出てくる可能性があります。

MAO阻害薬のうち、

選択的にモノアミン酸化酵素-Bを邪魔する(選択的MAO-B阻害)薬(セレギリン等)を

併用すると血圧上昇の恐れから併用注意になっていますね。

モノアミン酸化酵素は、1回使ったモノアミンを分解する薬。

そこを邪魔するのですから、モノアミンの使い捨て防止になり、

モノアミンの作用が強く出ることになります。

本来の作用は選択的ですが、

たくさん使うと邪魔をする対象が非選択的になってしまいますよ。

 

作用不明だけど、併用した薬の作用が強く出るものとして

ワーファリンとイヌトラデフィリンがあります。

イヌトラデフィリンは、エンタカポンと同じパーキンソン病のお薬。

併用するとジスキネジーが出やすくなります。

 

ジスキネジーは、「ジスキネジア」のこと。

不随意運動の1つですね。

レボドパ治療開始から数年して出てくる遅発性ジスキネジアは

四肢の舞踏病様運動(踊っているような動き)が出やすく、

このあとおはなしする統合失調症や双極性障害の薬によるときには

顔周り(口唇や舌の動き、歯のかみしめなど)に出やすい傾向があります。

 

ジスキネジアが出る理由は、パーキンソン病の原因に関係しています。

パーキンソン病の始まりは、ドーパミンが不足して、

ドーパミンで情報伝達をしていた線条体や黒質がうまく働けなくなるからでした。

不足したドーパミンを補充しているうちに、過剰になってしまうことがあります。

過剰になったときに、

線条体や黒質の受け止めるところ(受容体)が

(今度は不要に)働きすぎてしまうと…不随意運動になってしまうのです。

 

線条体のある大脳基底核は、情動(特に「怖い!」)に関係が深いと

解剖生理学でおはなししましたね。

そして運動の統合にも関係が深いことは、

パーキンソン病に効く薬の最初でおはなしした通りです。

運動をうまく統合するため、大脳基底核は運動命令を2つのルートでコントロールし、

情報をループさせている(運動ループモデル)と考えられています。

どちらのルートにも複数の受容体があって、伝える情報が異なる点は、

アドレナリンと受容体の関係に似ていますね。

ドーパミンが不足したパーキンソン病では、

2つのルートがどちらも「運動抑制!」でループしてしまいます。

ドーパミンが過剰になると、1つのルートはうまく働かず、

もう1つのルートは勝手に運動を促進し続ける…これがジスキネジアです。

 

なお過剰なドーパミンは幻覚や妄想(統合失調症の陽性症状)にも深い関係があります。

幻覚や妄想を止めるためにドーパミンを邪魔する薬を入れると…

効きすぎで今度はパーキンソン病のような症状が出てきてしまうのです。

 

ここで分かってほしいこと。

神経伝達物質は、多すぎも少なすぎもよろしくありません。

「崩れたバランスをもとに戻そうとすると、

逆側にバランスが崩れることは良く起こる」ことを覚えておいてくださいね。