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10 脳神経系のおはなし(2)感染・腫瘍・脱髄性疾患(5)

「平山病」とは、若年性一側上肢筋萎縮症のこと。

10代男性を中心に発症する、

神経が原因の、

尺側(小指側)の小手筋が中心になる萎縮です。

頸椎は可動域が大きいのですが、

その可動域ゆえに中に入っている頚髄が

圧迫を受けてしまったものです。

ちょうど曲がりがきついのは、

頚髄7番と8番のあたり。

7個目の頸椎の上から出るのが頚髄7番、

下から出るのが頚髄8番です。

ミオトームで確認すると、中指、薬指、小指ですね。

圧迫を受けた運動神経前角細胞に虚血性変化が起きて、

支配している筋肉(小手筋)が萎縮してしまったのです。

 

手の指がのばしにくい(又は曲げにくい)、

握力が下がった、

ボタンを留めにくい等の症状が出てきます。

一定程度まで症状が進むと、

あとはそこで進行が止まり、そのまま経過しますよ。

過度の頚部屈曲を避ける(圧迫を避ける)ことが一番です。

首の前屈はできるだけ避けましょう。

居眠りで首が前に傾いてしまうなんてもってのほかです。

どうしても首の前屈が必要なら、

カラー(装具)使用も検討してください。

あとは肩・首への過度負担も避けましょう。

荷物の重量はもちろん、

スポーツ(重量挙げやレスリング等)はダメですからね。

 

2 腫瘍

細胞が「変!」になる原因は

血液と感染以外にもありますね。

増殖のコントロールが失われた腫瘍も

立派な「変!」です。

脳・脊髄にできる腫瘍は、多くが良性腫瘍です。

ただ、増殖コントロールを失って増え続けることで

「周囲を圧迫」することになります。

また、ホルモン分泌地点で腫瘍ができると、

「ホルモンが出すぎ!(分泌過剰)」になります。

内分泌系異常とも関係してくるところですね。

 

脳腫瘍の約1/4(25%)は髄膜腫。

主にくも膜絨毛で生じる、95%以上が良性腫瘍です。

ゆっくり大きくなるので、長期にわたり症状がなく、

他の検査の際に発見されることもあります。

全部摘出できれば治りますが、

静脈洞に出来てしまうと「全摘出」はできません。

硬膜上の静脈が広がった部分が、静脈洞。

現代医療でも「後で再建」ができないところだからです。

頭部腫瘍というだけでも、

本人にとってはかなりのストレスです。

適時に適切な情報を伝えることを含めて、

メンタルサポートにも配慮してくださいね。

 

脳腫瘍の約15%が脳下垂体腺腫瘍。

成人女性に幾分多い良性腫瘍です。

ホルモン過剰を起こすものは「機能性腺腫」、

起こさないものが「非機能性腺腫」です。