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12 末梢神経のおはなし(3)触覚と皮膚(後半)(5)

(4)いぼ(疣贅)

皮膚の「変!」として、

「いぼ(疣贅:ゆうぜい)」もありますね。

注意してほしいのは、

疣贅のすべてが感染性ではないということ。

「疣贅」自体は、表皮細胞の増殖です。

だから腫瘍の仲間ですね。

原因がいろいろあり、名前もいろいろあります。

身近なものや代表的なものだけを紹介しますので、

ちゃんとイメージできるように

しておいてくださいね。

 

まず、普通に目にする良性腫瘍。

加齢に伴う表皮細胞の増殖が「老人性疣贅」です。

淡褐色から黒褐色の盛り上がった(隆起性)局面で、

高齢者の顔や手にある、

広くて色の濃いふくらみ…をイメージできますか?

これ自体が治療対象になることは、本来ありません。

必要ならば、液体窒素やガスレーザー、

切除等の外科的対処がなされますよ。

 

色素のある皮膚細胞が増殖したものが

「色素性母斑」。

小さいものは「ほくろ」ですね。

これまた「治すもの」ではないのですが…

もし、急に大きくなったら要注意!

いきなり悪性化した

「悪性黒色腫(メラノーマ)」の可能性があります。

悪性黒色腫は

すぐに全部切り取る必要がありますからね。

 

他にも手足や膝に出来る「尋常性疣贅」や、

顔や前腕に出来る淡褐色扁平小丘疹の

「扁平疣贅」は、心配無用の疣贅。

 

感染を「心配しなくてはいけない疣贅」は、

尖圭コンジローマ

(ヒトパピローマウイルスによる疣贅)です。

尖圭コンジローマは、

外陰部や肛門周辺に出来る鶏の冠状の疣贅。

赤くて、凸凹のある、隆起の大きい出っ張り

(にわとりのとさか)をイメージです。

 

原因となるヒト乳頭腫ウイルス

(ヒトパピローマウイルス)は、

性交為で感染(接触感染)します。

多くは無症状ですが、

痛みやかゆみ、不快感が出ることもあります。

感染するとはいえ、

生命に影響することはありませんが…

重症化して治りにくいときには、

そもそもの免疫低下を治療する必要があります。

 

2 皮膚損傷

様々な皮膚の「変!」を見てきましたが、

その極限状態が

「皮膚がない!(皮膚損傷)」です。

擦り傷(擦過傷)や切り傷(切創)も、

一時的な皮膚損傷。

異物が入り込まないように水で洗い、

傷の大きさによっては外科的に縫い合わせれば、

皮膚の細胞が増殖して傷をふさいでくれます。

皮膚がなくなってしまう例が、やけどと褥瘡です。