5 薬に共通するおはなし(4):代謝(M)・排泄(E)(2)

排泄(E)のおはなしは、

血液から尿を作るおはなしそのものです。

むしろ再吸収や分泌が少ない分、

普通の尿作成よりもシンプルですね。

血液中を流れる分解された後の薬は、ろ過されて原尿へ。

そのまま大部分は尿になって出ていきます。

 

ただし、

肝臓で分解されにくい薬の中に脂溶性のものがあったら、

尿の形ではうまく捨てることができません。

そんなときには、便で捨てましょう。

 

ここで役立つのが胆汁酸のおはなしで出てくる

「胆道系」「腸肝循環(から外れて捨てるとき)」です。

肝臓で水溶性に分解できなかった薬は、

胆汁酸と一緒に小腸へと捨ててしまいます。

このとき通るのが胆道系ですね。

胆汁酸を再利用するときには、

門脈から再吸収して肝臓へ。

これは腸肝循環ですね。

 

胆汁酸があまった、古くなった等で捨てるときには、

もう門脈には入りません。

そのまま腸管内にいて、

食べ物の残りかすと一緒に便として捨てればオーケー。

胆汁酸内の色素は、

最後にステルコビリン(便の色)になることを思い出してくださいね。

これで、脂溶性の薬も体から排泄できます。

 

では、代謝と排泄に不具合があるとどうなるか。

本来分解されて、体外に捨てられるはずの薬が

体の中(血液中)に残ることになりますね。

薬の働きが、本来よりも強く、長く出ることになります。

 

「ラッキー!少しの量で効いた!」

…というおはなしにならないことは、

副作用や中毒・安全域のおはなしを思い出せば分かるはず。

特に、まだ肝臓の働きが本気モードになっていない新生児では、

生命の危険があります。

 

代謝と排泄に関係する肝臓・腎臓(・そして胆道系・腸肝循環)が

おかしいときには、

薬が必要以上に効きすぎることに注意ですよ。

 

腎臓がおかしいと、尿に「変!」が出てきます。

他にもpHや血圧、赤血球(貧血)にも影響が出てきますね。

もちろんタンパク尿が出ていたら、

血中アルブミン不足の可能性が高くなりますから、

薬の「分布」も変になっていますね。

 

肝臓や胆道系(と腸肝循環)がおかしいと、黄疸が出てきます。

黄疸の原因は、

赤血球色素ヘモグロビンが分解されて出てきたビリルビン。

どこが変になるとどんな黄疸が出るか、

今のうちに復習しておくといいですよ。

 

先程の注意と同じことを逆の方向から見てみると、

「尿、pH、血圧、赤血球に異常があったり、

黄疸が出ている人は、

薬の効果が強く出るかもしれないから、注意!」になりますね。

 

以上、薬のADMEについてのおはなしでした。

これで、薬の基本的な動きについて理解できたはずです。

各論では、よく使われる薬や

注意しておいた方がいい薬を紹介していきます。

どこに不具合(「変!」)があって、

なぜその薬が必要になるのかという病態学のおはなしも

できるだけ簡単にしていきますね。

 

大まかに、バイタルサインに対応させたブロックごとに

おはなしをすすめていきます。

「脈・血圧ブロック」、「体温ブロック」、

そして「呼吸ブロック」ですね。