3 脈拍・血圧のおはなし(2):血管(瘤と解離)

(3)瘤と解離

「瘤」というのは「こぶ」のこと。

血管の太さが本来の1.5倍になってしまうと「瘤」です。

血管の3層全部が膨らんでいる

(血管内腔が1.5倍以上)だと真正瘤。

血液の出入り口が1つなのが仮性瘤。

血液の出入り口が2つあって、

本来の内腔以外のところを血液が通っているのが解離瘤です。

血管が本来の太さ以上になっているので、

周りは圧迫されて辛いですね。

上行大動脈に瘤があると上大静脈が圧迫され、

大動脈弓に瘤があれば気管支が圧迫されます。

下行大動脈に瘤があると、気管支や食道が圧迫されますよ。

 

これらの瘤は破裂すると激痛がはしります。

動脈血が勢いよく血管外に出ていきますので、

出血性ショックの原因です。

大動脈瘤のできやすいところは、腎動脈より下の腹部大動脈。

横隔膜より上の胸部下行大動脈も、比較的発生しやくなっています。

「変に硬化して通りにくいところが増えた!

通そうとして圧力上げたら、他のところが膨らんじゃった!」

…こうイメージすれば、瘤の原因として動脈硬化はすぐ浮かぶはず。

でも、炎症や外傷、特異性原因もあるので、

原因を決めつけてはいけませんよ。

 

瘤は動脈の専売特許ではありません。

静脈にだって、瘤はできます。

できる場所は主に下肢。

静脈弁が働かなくなってしまったせいです。

体の下の方から勢いの弱くなった血液を、心臓まで戻すのは大変ですね。

そのため、静脈には弁があるのですが、それでも大変です。

だからふくらはぎの筋肉(ヒラメ筋、腓腹筋等)達が収縮することで、

血液を上の方へとしぼり上げる「ミルキング作用」がお手伝い。

 

筋肉のお手伝い不足では、弁の力には限界があり…

弁が壊れると、下肢の静脈(伏在静脈)に瘤ができてきます。

ひどくなってしまうと伏在静脈を抜き取ってしまう

(ストリッピング)手術になってしまうので、

弾性ストッキングが効くうちに対処したいところです。

 

瘤の1スタイルでもある解離。

これが大動脈で起こったものを「大動脈解離」と呼んでいます。

この解離は約7割が上行大動脈で起こります。

起きてしまうと、激痛かつ即、死の危険です。

胸の痛みということで心筋梗塞だけでも「すぐに病院!」ですが、

こちらは「救急車!間に合って!」のレベルです。

高血圧や動脈硬化、脂質異常があると発生危険性が高まりますので、

常に頭の片隅に置いておくようにしてください。