試し読みページ

https://5948chiri.com/readtrial/

9 呼吸器系のおはなし(1)通り道と赤血球(3)

副鼻腔炎には急性と慢性があります。

急に起こる副鼻腔の炎症が、

急性副鼻腔炎。

それが3か月以上続く、

またはどんどん悪化していく副鼻腔炎が

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)です。

急性鼻炎や気道の炎症、

顔面外傷等に併発することが多いですね。

 

何らかの感染が起こり、

副鼻腔粘膜に炎症が起こると、

粘膜が腫れて粘液分泌が亢進します。

すると空気の通るところが狭く(ときには閉鎖)なり、

分泌物の排泄が害されて、

副鼻腔内に液体がたまります。

そこでさらに感染が…こうして慢性化していきます。

 

鼻閉、嗅覚障害、後鼻漏、膿性鼻漏の他に、

頭痛、発熱、全身倦怠感や食思不振といった

全身症状も出てきます。

 

あとは、炎症を起こした

副鼻腔の近くに痛みも出てきます。

篩骨洞なら眼窩痛、上顎洞なら頬痛ですね。

急性副鼻腔炎では1か所、

慢性副鼻腔炎では両側かつ複数に炎症が出やすいですよ。

 

副鼻腔炎では、

眼科合併症と頭蓋内合併症が怖いですね。

眼窩合併症では視力障害や複視、

頭蓋内合併症では髄膜炎や脳膿瘍を起こして、

高熱が出ることもあります。

「たかが鼻の調子が悪いだけ…」なんて

放置してなんかいられません。

 

軽いものなら、点鼻薬やネブライザー等で

粘膜を収縮させ、排膿を促します。

あとは抗菌薬や消炎鎮痛剤の併用ですね。

重症化してしまうと手術になることもあります。

以前は鼻の外側からが主流でしたが、

現在では鼻腔内からの内視鏡手術が多いですね。

ただ、注意しておいてほしいこと。

外科的処置のとき、痛みの強さから

ショックを起こすことがあります。

ちゃんと事前に情報を提供した上で、

必要に応じて固定を行うこともありますよ。

 

(3)外傷

鼻の外傷の例として、

鼻中隔彎曲症をおはなしします。

これは鼻中隔が成長過程のゆがみや外傷等によって

たわみ、鼻閉が起きるもの。

先程おはなししたアレルギー性鼻炎や

慢性副鼻腔炎を起こしたときに、

鼻中隔彎曲があると特に鼻閉になりやすくなります。

 

根本的対処法としては手術をすることになりますが、

鼻腔等に炎症があるならまずはその治療から。

手術の後固定のために

鼻に入れたガーゼは2~3日で外せます。

手術をした後、その日は唾液がたまってきても

飲み込まずに吐き出すように事前説明をしておいてください。

術後の出血があったときに、胃に血が入ってしまい、

吐き戻してしまうことを防ぐためです。

術後の注意は発熱、疼痛、術後出血。

これらがなければ、1週間くらいで退院できますよ。

 

鼻腔・副鼻腔を通った空気は、

咽頭を通り、喉頭へと向かいます。

喉頭の入り口には声帯もありましたね。

咽頭・喉頭・声帯については、

上部消化器系のところでおはなししてあります。

必要に応じて、読み返しておいてくださいね。