8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(1)腎臓と尿(5)

(4)慢性腎不全と人工透析、腎がん

A 慢性腎不全

では、これら急性腎不全をうまく改善できなかったら。

腎機能障害が徐々に進行し、

最終的には血液透析等の腎代替療法が必要になります。

もう、原則として不可逆な状態です。

これが慢性腎不全。

 

原因は糖尿病性と腎性糸球体腎炎、

腎硬化症に大別できます。

腎硬化症は高血圧由来。

糖尿病性は、慢性腎不全の約4割を占めます。

ここだけを見ても、

糖尿病とメタボリックシンドロームの怖さが分かりますね。

症状は、今までの復習のオンパレードです。

循環器症状としてはうっ血性心不全や

心タンポナーデにつながる尿毒症性心膜炎。

消化器系症状は悪心や嘔吐。

中枢神経症状は、

集中力・記憶力低下、傾眠傾向、見当識障害や幻覚・錯乱、

意識レベル低下や昏睡が起こる可能性があります。

慢性腎不全では、脱力感や筋委縮等による筋力低下等の

末梢神経障害も出てきます。

動悸・息切れの出る貧血や、

骨痛、(圧迫骨折を含む)骨折、

関節痛や胸郭変形を示す骨病変も起こってきます。

 

…これらの症状、丸暗記するには多すぎですね。

だから、ちゃんと体の中で何が起こっているのか確認しましょう。

 

以前内分泌系のところで復習した腎臓の働きは

「赤血球成熟因子産生」、「ビタミンD活性化」、

「pH調節」、「ミネラル調節」、

「体内水分量調節」でしたね。

まず腎臓が慢性的に機能不全ということは、

赤血球が成熟できないということ。

成熟できない赤血球は酸素を運べませんから、

腎性貧血による貧血症状が出てきますね。

 

次にビタミンDを活性化できないということは、

小腸から吸収されるカルシウムと、

ビタミンDによって応援される

骨代謝がおかしくなってくるということ。

そこに代謝性アシドーシスが加わるせいで、

骨からリンとカルシウムが溶け出やすくなっています。

しかもおかしくなった骨代謝を

何とかしようと副甲状腺ホルモンが

機能亢進(二次性副甲状腺機能亢進症)して…。

結果、腎臓のせいで骨全体がもろく強度不足になる

骨病変(骨粗鬆症・骨軟化症)が出ます。

 

各種神経異常(中枢・末梢)と消化器症状は、

尿毒性物質と電解質障害(ミネラル異常)のせいです。

尿毒性を示すのは尿素窒素(BUN)やクレアチニン。

本来尿として出ていくはずのものが、

血液にのって全身をめぐることで

体内細胞をおかしくしていきます。

そこにミネラル異常で、

細胞の正常な情報伝達が妨げられてしまっています。

高カリウム血症で細胞の電気発生が

おかしくなってしまうおはなしは、

循環器系の心電図のところでしましたね。

 

血液中カルシウムの濃度も、

やはり多すぎや少なすぎでは

細胞の電気発生がうまくいきません。

しかも代謝性アシドーシスは、

高カリウム血症を促進していきます。