11 精神のおはなし(3)3大欲求障害、時期・段階に特徴的な障害(8)

(2)中学生・高校生

中学生・高校生はパーソナリティ障害や

病的習慣及び衝動制御障害も出やすい時期です。

 

パーソナリティ障害は、

著しく偏った持続的行動の反応パターンによる障害。

柔軟性を欠いた反応パターンにより、

広範囲の行動・心理機能に強い影響が出てきます。

多くは、社会的機能が害され、主観的な苦痛を伴います。

他の病気との区切りが難しいものや、

併発・発展していくものもあり、

そのせいで「パーソナリティ障害」の理解自体が

難しいものになっています。

 

今まで勉強してきたところを例にとると、

統合失調症に似ていて移行していく可能性がある

「統合失調症パーソナリティ障害」や、

薬物等の物質依存は

「反社会性パーソナリティ障害」と併存しやすい…ですね。

パーソナリティ障害は、

主に心理療法や認知行動療法が行われます。

薬は多少効くタイプもありますが、

効かないタイプもあるので使い方は「補助的」ですね。

時間の経過に伴い、

同じパーソナリティ障害でも

区分が変わっていくこともありますよ。

 

病的習慣及び衝動制御障害は、

衝動を制御できずに、

自己や他者の利益を損ないながら

反復・継続される行為・行動を引き起こすもの。

これも多数因子の複合で起こるとされています。

毛を抜いてしまう「脱毛症」は、

10代に多く発症し、性差はほとんどありません。

ギャンブルにはまってしまう

「病的賭博」は男性に多く(2:1)、

自殺行為にはしりやすい傾向にあります。

万引きを繰り返す「病的窃取」は女性に多く(1:3)、

女性では35歳前後、

男性では50歳以降に発症のピークがあります。

いきなり暴力行為に及ぶ

「間欠性爆発性障害」は男性に多く(4:1)、

青年前期から成人初期に発症することが多いですね。

テストステロンの増加と

セロトニンの減少に関係があるとされています。

ほぼ男性でしか発症しないとされているのが「病的放火」。

小児のうちに、

防止的治療ができれば治療効果が高いものです。

 

ほぼ男性にしか発症しないものに

「性嗜好障害」もあります。

性的満足を得るための手段の偏りで、

多くは18歳までに発症します。

モノに対する「フェティシズム」。

異性の服を着用する「フェティシズム的服装倒錯」。

自分の性器を露出する「露出症」。

いわゆる「のぞき」の「窃視症」。

小児しか対象とできない「小児性愛」や、

各種隷属関係を求める「サドマゾヒズム」などがあります。

これらに対しては、認知行動療法がとられますね。

 

(3)母子関係

あとは「性」の分類に入れることのできなかった、

母子に関係する心理的状態変化について

補足しておきましょう。

とはいえ、先にうつ病のところで

ある程度おはなししてありますので、復習です。

 

妊娠すると、通常時とは異なるホルモンが

多量に出て妊娠を維持します。

でも出産後は、そのホルモンが不要になります。

この「ホルモンの急変化が精神に大きな影響を与える」ことは、

薬剤性うつ病のところで確認済みです。

そこで出るのがマタニティブルー。

産褥初期(産後2~4日)で出る、

一過性に見られる生理的変化です。

主な症状は涙もろさ、不安、抑うつ気分、困惑、集中困難。

睡眠症状と頭痛・易疲労感の身体症状が出ることもあります。

数日で自然回復が見られますから、

これは経過観察で大丈夫です。

 

でも、産後2~3週間で出てくる「産褥精神病」と、

産後3か月ほどで出てくる「産後うつ病」には

気を付ける必要があります。

産褥精神病はまとまりのない行動、

幻覚、意識障害を伴う錯乱状態。

多くは双極性障害を有する状態での出産で生じます。

産後うつ病は女性の感情障害のピーク(25歳~44歳)と重なり、

双極性障害の危険因子でもあります。

 

以上が「精神」のおはなしでした。

「なんだかわけのわからないもの」ではなく、

脳の神経細胞(含む、神経伝達物質)の働きに

関係していることは分かりましたね。

原因を「これ!」と限定できることは少なく、

経過が長期になりがちで、

家族はじめ周囲環境の影響が

大きいことも分かってくれたはずです。

「ヒト全体を看る」看護ならではの

視点や介入の必要性もありますね。

ここから先は、精神看護にお任せしますよ。

 

次回からは、末梢神経系のおはなしです。

長かった病態学のおはなしも、

いよいよ最終ブロックですよ。