9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(7)
何だかよく分からないけど、
肺もおかしくなる対象の1つに入っているのが
「サルコイドーシス」。
原因不明の多臓器疾患です。
おかしくなってしまうところで多いのが、
肺、肺門リンパ節、目と皮膚。
差明(しゅうめい:
まぶしく、強い光に不快感や眼の痛みが出る)や
霧視(むし:
霧がかかったように見える)といった
視力障害で気付くか、
無症状のまま健診の胸部X線撮影で
変な影が見つかって…ということが多いですね。
8割以上は、2年以内に自然と治ります。
でも肺や目の病変が長引いてきたり、
持続性高カルシウム血症等が出たりしたなら、
ステロイドの長期内服になります。
少なくともストレスが発生と増悪双方に関係するので、
できるだけストレスを回避し、
解消する生活を提案していきたいですね。
3 換気障害
今まで、通り道や交換所の
「何か変!」についておはなししてきました。
でも、そこには問題はないのに
「呼吸が変!」になることもあります。
それが換気障害。
ここでは過換気症候群と気胸について
おはなししますね。
過換気症候群は、肺胞換気量増加のため
動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)が低下して、
呼吸性アルカローシスを起こした結果、
呼吸困難や手足のしびれを示すものです。
血液がアルカリ性に傾く(アルカローシス)の頭に
「呼吸性」の文字がありますから、肺が原因ですね。
肺のpH調節方法は二酸化炭素でしたから、
「肺が二酸化炭素を吐き出しすぎたせいで起きた異常」です。
高齢者や男性でも起こりますが、多いのは25歳以下の女性。
そして原因と機序が不明だらけの、心因性症候群です。
出る症状はとてもたくさんあります。
呼吸器系のあくび(欠伸)、ため息だけではありません。
消化器系の吐気、げっぷ、鼓腸。
循環器系の動悸、胸痛、胸の締め付け。
他にもめまい、失神、手足のしびれ、振戦等が出てきます。
こんなにいろいろ症状が出るのに、
個々の器官系を調べると「異常なし」とされてしまうので、
病院を転々としてしまうことも起こります。
治療の最初かつ最大の一歩は、
何が起こっているのかを理解してもらい、
不安や緊張を解くこと。
心理面が落ち着かないと、治りません。
不安や緊張の原因を多角的にとらえて、
解消していく方法を一緒に模索する。
まさに看護が得意とする介入方法ですね。