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9 呼吸器系のおはなし(3)骨の異常(5)

(2) 骨の変形・変性、腫瘍

同じく高齢者に多い椎体の変形・変性についても

おはなししていきますね。

椎体がおかしくなると、

中に入っている脊髄の働きが害されて症状が出てきます。

「中枢」のおはなしの導入編でもありますね。

ここでは原因になる「椎体がおかしい」に注目しますよ。

 

変形性頚椎症は、

頸椎が変になって(骨が分厚くなり)、

挟まれた椎間板が薄くはみ出してしまったもの。

深呼吸できない、あぐら(胡坐)をかけない、

足元を見ることができない等の「脊椎症状」と、

四肢のしびれや歩行障害、

さらには膀胱直腸障害(排尿・排便障害)等の

「頚髄症(神経症状)」が出ます。

神経症状に対しては薬物療法や手術が行われます。

脊椎症状に対しては、

適度なストレッチにより可動域が改善され、

痛みも和らぎます。

ちゃんと睡眠をとることも大事ですよ。

 

変形性頸椎症と同様、

脊髄やそこから出る神経が圧迫を受けてしまったものが

「脊柱管狭窄症」。

脊柱管あるいは椎間孔部で、

神経が周囲の骨・椎間板・黄色靱帯等によって

圧迫・絞扼された結果、

物理的圧迫や血液・髄液が障害されて出た症状のことです。

先天性もありますが、

後天性の脊柱管狭窄症はよく起こります。

臀部や下肢の疼痛・神経性の間欠性跛行、

下肢や会陰部のしびれが出てきます。

間欠性跛行は

腰椎を屈曲位(腰を曲げた状態)にすれば痛みが和らぐので、

「カート等を押せば歩けるけど、

1人だと歩けない」ことが増えますね。

50代以降に多く起こります。

 

原則は保存療法。

循環改善薬を用いつつ、体幹装具を付けて、

適度な運動(歩行等)が必要です。

疼痛に対しては神経ブロックや

降圧手術の対象になることもありますね。

変形頚椎症も脊柱管狭窄症も、

脊髄自体については

中枢のところでもう一度おはなししますよ。

 

腰部の椎骨に起こるのが変性すべり症。

脊椎が、尾椎側の脊椎に対して前方に滑った状態です。

加齢による椎間板の支持性低下と

骨粗鬆症等による微小骨折が原因なので、

50代以降に増えてきます。

腰部の不安定感・腰痛から始まり、

やがて臀部痛・下肢痛が出てきます。

ひどくなると「馬尾神経症状」と呼ばれる

下肢・臀部・会陰部のしびれや

灼熱幹・脱力感、残尿感や排尿遅延が出てきます。

 

もっと滑って完全に離れた状態のものが「腰椎分離症」

こちらは青少年期の、外力による疲労骨折で起こります。

スポーツをする人に多いので、1~2週間はスポーツ禁止。

それで症状は和らぐのですが…

スポーツ再開で痛みもぶり返してしまいます。

ちゃんと治したいなら4~6か月間はスポーツ禁止。

硬い体幹装具を付けて、骨癒合をじっと待ってくださいね。