12 各論7:呼吸(中枢・精神):②麻薬系鎮痛薬(2)
麻薬のうち、医療用として認められているものはモルヒネとコデインです。
ヘロインは、血中濃度が数分で半減してしまい痛み止めとして長持ちしません。
その反面快感と身体・精神依存は最強クラス。
ヘロインは痛み止めの有用性よりも、害の方が大きすぎるのですね。
だから、がんの疼痛治療に使われるのはモルヒネとコデインになります。
この2つの麻薬は、正しい血中濃度で使えば鎮痛効果を上げつつ、
依存は生じにくい状態に保てます。
「麻薬は怖い!」というイメージ戦略が功を奏し、
多くの人は「麻薬は1度使うとやめられないヤバいもの」と思っています。
病院で痛み止めとして使うときには、
患者さんに痛みを止める必要性と同時に、
むやみに薬を怖がらないように情報提供してあげてください。
「ヤバい」状態にならないように、医療スタッフが日々確認しているのですからね。
以上が、「麻薬」についての(できるだけ)簡単なまとめ。
「3段階がん疼痛治療」のおはなしに入りましょう。
がんの一部には、痛みを伴うものがあります。
その痛みは病気と闘うときに不要なものです。
だから、痛みは我慢せずに鎮めてしまいます。
ただし、むやみに強い鎮痛剤を使うのではなく「痛みに必要な強さの薬」を使います。
1段階目では、鎮痛補助局所麻酔剤。
痛みを中枢に伝える痛覚神経を麻痺させてしまいます。
追加して睡眠剤や抗不安薬(不安をやわげる薬)も使いますね。
2段階目では非ステロイド系消炎鎮痛剤やコデイン。
炎症物質自体を減らしたり、
中枢を邪魔したりして「痛くない」状態を作り出します。
3段階目では、モルヒネを使って痛みを鎮めます。
これが「3段階がん疼痛治療」です。
2段階目の非ステロイド系消炎鎮痛剤やコデインについての
おはなしは終わっていますね。
ここでは3段階目のモルヒネについておはなしします。
1段階目の局所麻酔剤については、
麻薬の次…「麻酔」のところで紹介しますね。