10 各論5:体温(感染・免疫):⑥ワクチン(予防接種)(2)
法定ワクチンの中身ですね。
ヒブ(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌、
DPT-IPV、BCG、MR、水痘、日本脳炎、子宮頸がんワクチンです。
インフルエンザにはウイルス性だけでなく
細菌性のものがあること、これで分かりますね。
途中の暗号めいたアルファベットの中で、
BCGは結核菌のワクチンということは分かるはず。
DPT-IPVは4種混合。
ジフテリア菌、百日咳菌、破傷風菌、
そしてポリオ(急性灰白髄炎:ポリオウイルス)です。
MRというのは、麻疹ウイルスと風疹ウイルスのことですね。
「破傷風菌は芽胞を作ると退治が大変だからかな。
あれ?ディフィシルとボツリヌス菌は?」
ボツリヌス菌は飲食物で、かつ、
空気に触れないところで増える嫌気性菌です。
時々殺菌が不十分だった
缶詰や真空パック食品で問題になることはありますが、
普段の食事で心配はいらないはず。
ディフィシルは腸の中にいますが、
ごくマイナーな菌なので、普通は悪さをしません。
悪さをするとしたら、腸内菌叢が大変化してしまった…
抗生物質による「偽膜性大腸炎」ですね。
子宮頸がんは、現在唯一の
「ワクチンである程度予防できる」がんです。
原因になるヒトパピローマウイルスのワクチンですね。
でも注意。
「子宮頸がんは100%
ヒトパピローマウイルスのせい」ではありませんよ。
このウイルスは、皮膚に出来る「いぼ」と
粘膜に出来るいぼ(尖圭コンジローマ等)の原因でもあります。
これらワクチンは、必要に応じて接種することが大事。
海外旅行のときには、
現地に合ったワクチンの追加接種が必要です。
流行の兆しがあるときには、
感染すると大問題の医療職従事者は
早めにインフルエンザワクチンを接種です。
そして改めて注意。
これらワクチンは「異物を体の中に入れる」ことそのものです。
だから「現在何かに感染中の人」や体調が悪い人、
妊娠中の人はワクチン禁止です。
特に法定ワクチンは無料期間が過ぎそうになると
「多少の熱や鼻水ならいいか!」と
無理をする接種希望者が増えがちです。
でも、体内免疫状態が悪いときに異物が入ってきては、
いらぬ大苦戦を強いられる可能性があります。
そもそも「体の中は一次応答状態!」ということを
忘れてはいけません。
ワクチン(特に法定ワクチン)を受けないことは、
とても危険なことです。
何のために「副作用があると分かっていますが、
一定期間無料にしますので
ワクチンを受けてください」と法律で決めたのか。
微生物学や病態学等で、
対象になっている菌・ウイルス(や病気)を確認してみてください。
そうすれば、ワクチンの意味と必要性が理解できるはずですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)