8 各論3:体温(消化器系):肝胆膵(3)肝臓・代謝異常(4:糖尿病4)
血糖値そのもののコントロール以外にも、
薬が役立つところがありますよ。
例えば、末梢神経障害。
糖尿病の合併症の1つで、
特に足の壊死に大きく関係してきます。
末梢神経障害の原因は、
細胞の中で増えすぎてしまったソルビトール。
ソルビトール合成を邪魔するのが、
エパルレスタットです。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00061084
禁忌に指定されていることはありません。
でも乳汁移行が動物実験で報告されています。
授乳中は避けておいた方がよさそうですね。
このお薬には大事な注意点があります。
いくら末梢神経障害が怖いからと言って、
血糖値をコントロールせずにいきなり使ってはいけません。
「食事、運動、経口剤、
インシュリン注射等の血糖値対策をすべてした後で、
それでもHbA1cの改善が見られないときに使うこと」と
添付文書の注意書きに書いてありますよ。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は血糖値の長期指標でしたね。
以上が糖尿病で使うお薬のおはなし。
糖尿病は血糖値が常時高いことで、
全身細胞に出てくる悪影響が大問題です。
先程おはなしした末梢神経障害と、
腎症、網膜症を加えた
三大合併症だけでも大変なことになります。
合併症の予防も治療も、
基本は「血糖値を(正常域付近まで)下げる」ことですからね。
糖尿病(のNIDDM)と高脂血症は、
食生活・運動習慣等で重なり合うところが多くあります。
肥満や高血圧(動脈硬化)が出てくると、
「メタボリックシンドローム」ですね。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html
1つずつに注目して治そうとしても、
なかなかうまくいく問題ではありません。
「全部をまとめて、少しずつ」この方向性でいきましょう。
そのためにも「脈・血圧」ブロックの高血圧の部分と、
このブロックの高脂血症、糖尿病のところを
「全部まとめて」の視点から
もう1度読み直しておいてくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230222更新)