8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(1)小腸(1:経管栄養2)

前回の経管栄養の完全代用はできませんが、

多少なら輸液でも栄養分のあるものを入れることができます。

そのためにはある程度の脂質を追加する必要があるのですが。

「血管だと詰まって大惨事!だから専用レーンのリンパ管」

まさに生化学の脂質代謝でしたおはなしですね。

だから、輸液でも専用の太い管を使って、

リンパと血管の合流地点である鎖骨下静脈などから

体の中に栄養分を入れるのが「中心静脈栄養(IVH)」です。

 

このようにできる限りヒトの正常に近い地点から

脂質はじめ栄養分を補給しても、血管炎を起こしてしまうことがあります。

それに鎖骨のところなどから太い管が体の中に入っているのは、

刺された方としてはあまり気分のいいものではありません。

感染にも要注意です。

栄養たっぷりの管が、体の表面を貫通して、太い血管へと入っているのです。

感染が起こると、あっという間に広がります。

 

管の固定は、ゆとりを持たせつつ、しっかりと。

「輸液を運ぶための点滴台と一緒に転倒!

管が外れて、空気塞栓?!」なんて事故も起こりうるところです。

転倒防止のためにチェックするところは、結構いっぱいありますよ。

「病室からトイレまで」をイメージして、

一度確認チェックリストを作ってみてくださいね。

 

小腸に効くお薬として、「腸管蠕動を促す薬」を紹介しておきます。

 

前提として、腸管の動きは自律神経系

(特に副交感神経系)によってコントロールされています。

ところが、この動きが止まってしまうことがあります。

腸の内容物が先に進まなくなったものが、腸閉塞(イレウス)。

イレウスは大きく2つに分けられます。

物理的にふさがってしまった機械的イレウス。

自律神経からの命令が来なくなって腸管が広がってしまった麻痺性イレウスです。

機械的イレウスには異物や腫瘍などによる「閉塞性」と

ねじれ(捻転)、はまり込み(嵌頓や腸重積)などによる

「絞扼性」があり、どちらも外科的処置の対象。

イレウスの原因が麻痺性ならば、腸管蠕動促進薬のメトクロプラミドの出番です。

 

メトクロプラミドは抗ドパミン作用のあるお薬。

交感神経系の神経伝達物質ドーパミンを邪魔することで、

副交感神経優位にして、腸管運動を促す薬です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066550

ドーパミンは精神分野にも関係の深い神経伝達物質。

併用注意や副作用にも注意して見ていきましょうね。

 

まず、禁忌は褐色細胞腫疑いと消化管出血・穿孔・器質的閉塞。

ドーパミンの働きが邪魔されたことで、

「しっかり作らないと!」と副腎髄質が

交感神経系神経伝達物質アドレナリン産生モードに入ります。

褐色細胞腫があるときに(薬のコントロールなく)

このモードに入ってしまうと、血圧急上昇(昇圧発作)の危険!

また、消化管に穴が開いて(穿孔)出血しているときや、

消化管がふさがっている(閉塞)ときに、

麻痺していた消化管が動き出す(蠕動亢進)と

これらの症状が悪化してしまう危険がありますよ。