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7 体温のおはなし(4)内分泌系(全般)(5)

(2)副甲状腺

甲状腺の上に点状にあるのが副甲状腺。

副甲状腺ホルモン(パラトルモン:PTH)は、

骨代謝に関係するホルモン。

ビタミンD、カルシウムのキーワードを加えれば、

骨・小腸・腎臓に作用することは理解できましたね。

副甲状腺ホルモン亢進は、

がん等で起こる原発性と、

慢性腎不全で起こる続発性があります。

人工透析をしている人の大半は、

副甲状腺ホルモン亢進状態にあると思ってください。

 

副甲状腺ホルモンが亢進すると、

血液中カルシウム濃度が上がり、

血液中リン濃度が下がります。

軽症なら脱力・多飲・多尿・便秘が見られます。

骨量低下は始まっていますよ。

重症になると高カルシウム血症クリーゼを起こして、

意識障害や脱水を起こし、急性腎不全の大ピンチです。

高カルシウム血症を予防するために

水をこまめに飲むことになりますが…

透析をしていると

「腎臓に負担をかけない範囲で」と条件が付くため、

かなり難しいコントロールを迫られます。

 

副甲状腺ホルモン分泌低下が起こると、

今度は血中リン濃度が上がり、

血中カルシウム濃度が下がります。

低カルシウム血症と言えば、

有痛性の筋攣縮「テタニー」です。

口や手足のしびれも出てきますよ。

これらの症状は

カルシウムが神経細胞の情報伝達に必要なことと関係しています。

ミネラルの重要性については、

上部消化器系でおはなししましたね。

 

3 心臓・膵臓・副腎の異常

胴体に到着。

心房性ナトリウム性利尿ペプチドは、

名前の通り心房から出る、尿を出させる(利尿)ホルモン。

消化管ホルモンはガストリン、セクレチン、コレシストキニン。

ガストリンは胃から出る胃酸を出させるホルモン。

腫瘍等のせいで出すぎると、胃潰瘍の原因でしたね。

セクレチンとコレシストキニンは十二指腸で出るホルモン。

セクレチンは胃と小腸の動きを止めて、中和を促進。

コレシストキニンは消化酵素と胆汁酸分泌を促して、

食べ物を吸収できる大きさまで消化させる働きでしたね。

続くは、膵臓と副腎のおはなしです。

膵臓のところで各種代謝異常のおはなしもしたいので、

先に副腎から出るホルモンについて

おはなししてしまいましょう。