8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(1)小腸(2:麻痺性イレウス2)
メトクロプラミド慎重投与対象は、
「腎障害のある人・小児・高齢者」と
「脱水・栄養不良を伴う身体的疲弊のある状態」です。
腎障害のある人や小児、高齢者では
排泄(E)が不十分になりがちで、血中濃度が高くなる恐れがあるからですね。
脱水・栄養不良等があると何が悪いのか。
悪性症候群を起こしやすくなるのです。
頻脈・発汗・発熱に嚥下困難や無動が出たら危険なサイン。
交感神経系の暴走状態です。
すぐに薬を止めて、水分を補給して体を冷やしてあげる必要があります。
さもないと、脂質異常症の中性脂肪分解薬(ベザフィブラート)で出た
横紋筋融解症のサインの1つ「ミオグロビン尿」を伴う、
急性腎障害が起こってしまいます。
そうすると脱水から循環虚脱。
意識障害や呼吸困難まで起きてしまうと、死はもう目前です。
とどめに、重大副作用の確認。
アナフィラキシーショック、けいれん、意識障害が起こる可能性があります。
これらと比べると危険性は下がりますが…
遅発性ジスキネジアという口周りの不随意運動
(動かすつもりはないのに動いてしまう)が出てくることがあります。
長期使用してときの副作用なので、
「麻痺性イレウスの薬としてメトクロプラミドを使った」
ときには出会う機会があまりないかもしれません。
でも「精神の薬として抗ドパミン薬を使った」ときには、
かなりの高確率で出会うことになる副作用です。
内分泌系異常(プロラクチン亢進)、錐体外路症状、
悪性症候群と遅発性ジスキネジア。
精神分野で出てくる副作用・要注意ポイントの予習でした。
抗ドパミン薬で起こるものであるということと一緒に、頭に入れておいてくださいね。
次回から、大腸に効くお薬のおはなしです。