1 イントロダクション(1)
看護師国家試験を受けるために、
「法制・行政」と「衛生統計」は必要不可欠な科目です。
でもこの2科目…いざ勉強しようとすると結構頭の痛い科目。
「覚えることだらけ…」
「数字に、いったい何の意味が?!」
それって、もしかして2つの科目をバラバラに勉強していませんか?
法制・行政は、統計がないとただの文字の羅列。
統計は、法制・行政がないとただの数字の暗記になりかねません。
この2科目は、「ヒト(と看護)」をはさめば、
両方をつなげて理解できるようになりますよ。
それは、ある種当然のことです。
だってヒトの一面をデータ(数字)化したものが統計で、
データをもとに行政が動き、法律も作られていくからです。
そしてヒトと看護をはさみつつ法制・行政と衛生統計を見ていけば、
他の科目の「どうしてそれを勉強するの?」も見えてきます。
例えば「悪性新生物(がん)の勉強ばっかり…」、
「たばこの害、やたら強調されるなぁ…」などがあげられますね。
きっと、まだ「2科目をつなげて理解」のイメージは湧いてこないと思います。
まずは、分かりやすい「生と死」の統計と、
その背景を確認してみましょう。
ヒトの生と死に関係する統計指標としては、
総人口、出生・死亡の動向(死因)、平均寿命、平均余命等がありますね。
最初ですから、
あまり深入りせずに「日本の総人口の増減」を見てみましょう。
日本の人口は、近年減少傾向にあります。
死者数自体は減っているのに、
それを上回るスピードで出生数が減っているからです。
じゃあ、なぜどちらも減少しているのか、
背景についても考えてみましょう。
昔…日本も発展途上国のように「多産多死」でした。
人口ピラミッドで見ると、まさに「ピラミッド型」。
「たくさん産む、たくさん死ぬ、少しは生き残る」…ですね。
ところが上下水道をはじめ公衆衛生が向上し、
提供される医療も向上したため、
死者は確実に減っていきました。
つまり「生まれたあと、生き残れる年月が増えた」ということです。
でも…「生きている」それだけでいいのでしょうか。
病気の慢性化や闘病生活の長期化によって、
「(単なる)生きる」から「良く生きる」に注目点が移っていったのです。
ここが「健康」や「ウェルネス」の出発点ですね。
また、慢性化・長期化は「お金がかかる」ことでもあります。
国レベルでも、個人レベルでも「予防」の重要性が高まりました。
そして病院では長期化・慢性化によって入院患者数が増えたことで、
病床不足・人手不足が問題になりました。
だから「地域(在宅)」や「ノーマライゼーション」の必要性が
高まっていったのです。
次回は、「出生」面を確認していきますよ。