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2 「健康」とは:(4)「ヒトとしてよく生きる」ために(2)

マズローの基本欲求5段目は自己実現欲求。

「創造性を発揮している状態」と表現されます。

ここは1~4段目までと違い、

「埋まらないと次にいけない」関係にはありません。

その上の段階がないという意味だけではなく、

「埋めるものではなく作り出すものだから」という意味も含まれています。

 

新しい何かを作り出して(創造性を発揮して)いるとき、

ヒトはいきいきとしています。

それが仕事であろうと趣味(遊び)であろうと、違いはありません。

 

3段目のノーマライゼーションには、「いきいきと活動」の文字がありました。

またWHO憲章の「健康の定義」の解釈が進み、

ダンは健康に対して見るべきところを広範囲化し、

「輝くようにいきいきとしている状態:ウェルネス」の

概念を提唱しました(1961年)。

ここにも「いきいき」という表現が出てきます。

マズローの5段目、自己実現欲求につながる表現ですね。

 

では、ヒトが新しい何かを作り出して、いきいきするためには何が必要か。

あくまで個人の考え(自説)にしかすぎませんが…

多少なりとも心と体に「ゆとり(遊び)」があり、

興味・関心を持つことが必要だと思います。

 

興味・関心は、

他人に言われて(強制されて)持つものではありません。

また精神状態があまりに下向きでは、持てるはずの興味・関心も持てません。

これ、決して「子育て(小児)」に限定したはなしではありませんよ。

退職後の高齢者(老年)にも「生きがい」という形で関係してきます。

 

自らの周囲に興味・関心のあるものはあるか。

ないなら他の物を目にするために、どこで何を入手しうるか。

日々の生活に追われる中で、

ふと自らの周囲を見回すためには、心にも体にも「ゆとり(遊び)」が必要です。

 

そして「ゆとり(遊び)」のためには、

ある程度の時間・空間と「他に支配されていないこと」も要求されます。

ここでの「支配」の典型例は「痛み(疼痛)」。

「痛い!」に意識が集中していたら、

遊びの天才子どもでさえも遊ぶことができません。

…私たち医療職に、できることがありそうですね。

 

次回は、前半の衛生統計パートのまとめですよ。