3 憲法・法律:(3)民法レベル[補足5]
労働時間と休憩について定めて、
「ヒトの心身に過度な負担をかけない」ための定めをしても、
「やっぱり休みが欲しい!」ということはあります。
忌引に代表される不測の事態は、いつかは起こりうるものですからね。
「今まで真面目に働いてくれてありがとうね!これからも頼むよ!
少しは自由に時間を使って!」という感謝と労り(いたわり)をこめて、
勤め先(使用者)が働く人(労働者)に「与えなくてはいけない休暇」が
労働基準法の定める有給休暇です。
「有給」ですから、働かなくても給料をもらえます。
これも労働契約の基本スタイルの「労働者にとって有利な変更」です。
前回おはなしした
「働いていたせいでケガ・病気・療養のために休み(休業)」だった期間は、
「真面目に働いて」いた期間として扱いますよ。
同じように休んでいても「真面目に働いて」いた期間として扱えるものがあります。
労働基準法の定める産前産後休業と、
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(以下、「育児・介護休業法」)」の定める育児休業・介護休業です。
ここからは労働基準法にプラスアルファして、
「もっと労働者を保護」する法律も追加していきましょう。
まず、大・大・大前提。
憲法は、男女両性の平等を定めています。
それを受けて労働基準法は「働く人(労働者)が女性であることを理由として、
賃金について男性と差別的な取り扱いをしてはならない」と定めました。
でも、これだけだと賃金(お給料)以外…
例えば採用の時点で差別的な取り扱いを受けてしまうかもしれませんね。
だから「雇用の分野における男女の均等な税金及び待遇の確保等に関する法律
(以下「雇用男女機会均等法」)」が作られました。
雇用男女機会均等法は、働く人の募集及び採用について、
その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければいけないよ、と
明らかにしたのです。
しかも雇用男女機会均等法は「性別による差別の解消」だけでなく、
「女性労働者の母性尊重」も目的に掲げています。
結婚(婚姻)を理由にした「やめてくれ(解雇)」は無効。
婚姻・妊娠・出産を退職理由にすると定めてもいけません。
「それなら母子検診に行けないようにして、
自分から『やめる』と言わせる」のも禁止。
母子保健法による保健指導、健康診査を受けるために必要な時間を確保して、
指導を受けたときにはそれを守れるように必要な措置
(勤務時間変更、勤務の軽減等)をしなければなりません。
女性が働く機会を奪われぬように、
妊娠しても母子ともに健康で働くことのできるように。
雇用男女機会均等法は労働基準法よりも
「もっと労働者を保護」している法律ですね。
次回は、産前産後休業のおはなしに入りますよ。