3 憲法・法律:(3)民法レベル[補足6]
労働基準法は、産前・産後の休業についても定めてあります。
出産後8週間は、労働者として働かせることはできません。
(例外として本人から「働きたい!」と請求があって、
医師が支障なしと認めた職務につかせることは可能ですよ)
あとは妊産婦が請求したときには、
産前予定日6週前(双子以上なら14週前)、時間外労働、休日労働、
深夜労働をさせてはいけません。
また、妊産婦を鉱山等の坑内業務、重量物取扱業務、
有毒ガス発生場所での業務に就かせてはいけませんよ。
そして生後満1年に達しない生児を育てる女性は、所定の休憩時間の他に、
1日2回、おのおの少なくとも30分は「児を育てるための時間」を請求できて、
その間は働かせてはならない、と定めています。
おむつを替えて、母乳を与えて(場合によっては搾乳して)…
ということが想定されているのですね。
あと、いわゆる生理休暇
(生理日の就業が著しく困難な女性が、請求することで得られる休暇)も
労働基準法に定めてありますよ。
出産後8週間は、強制的に休業。
産前6週(双子以上なら14週)も、請求すれば仕事を休めます(産前産後休業)。
でも現代社会では
「休業終了!さあ出勤!」というわけにはいきません。
…働いている間、児を育ててくれる人がいませんね。
「家族」の構成等変化は、以前確認した通りです。
そこで定められたのが育児・介護休業法。
児が1歳になるまでは、請求さえすれば仕事を休んで育児に専念できます。
もちろん育児休業申請をして、休業をしたことを理由にして、
解雇その他の不利益な取り扱い(減給や転勤等)をすることは許されません。
基本になるのは「1年まで」ですが、
(保育所等の児に保育を提供する施設に入れない!など)
厚生省令の定める場合にあたり、ちゃんと申し出をするなら、
最長2歳になるまでは育児休業を取ることができます。
一応注意。
労働関係に入って1年未満だと、育児休業申し出をすることができません。
育児休業は「休業が『雇用継続のために』必要があるから認められる」
ものであることをお忘れなく!
育児・介護休業法は介護による休業についても定めています。
「介護しようにも、誰もいない!」ことも
「家族構成等の変化」でおはなし済みです。
ただ、申し出回数は3回が限度で、
93日を介護休業に使うと申し出自体ができなくなります。
こちらも休業理由の解雇その他の不利益は許されませんよ。
休業だけではなく、
休暇や所定時間を超える労働等の禁止についても定めてあります。
小学校未就学の自動を養育しているなら、申し出によって
1年間に5日(2人以上いれば10日)を上限として、
負傷・疾病児の世話のための休暇を取ることができます。
要介護状態にある者の負傷・疾病の世話のための休暇も、同様です。
小学校未就学児がいて、その旨を申し出れば
所定時間を超える労働や深夜労働(午後10時から午前5時)も許されません。
これら休暇や所定時間を超える労働等の禁止についても、
解雇その他の不利益取り扱いは禁じられていますからね。
以上、労働基準法をベースにして、
プラスアルファの「労働者の保護」についても確認できました。
ちゃんとヒトの心身健康が配慮されたうえで、
母性・育児・介護にはさらなる保護が加えられていること、
分かってくれましたね。
社会(含む、家族)の変化に対応して、
法律の定めも変えていく必要があります。
「法律では間に合わない!」なんてときには、
厚生労働省令(厚生労働大臣の出す命令)で補うこともありますからね!