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4 髪(1)基本構造

髪も爪と同じく、

皮膚(上皮細胞)が形を変えたもの。

これまた、髪を健康に保つためには

「皮膚の細胞が健康であること」が必要ですね。

1本1本が細いため、

あまり「硬さ」を意識することはありませんが、

髪も爪と同じ「硬ケラチン」で出来ています。

 

爪は皮膚と同じ3層構造(最下層、中間層、最表層)でした。

髪も、断面をみると3層構造になっていますよ。

 

中央部にある芯の部分が毛髄質(メデュラ)。

細い毛では毛髄質がないこともあります。

 

毛髄質の周りを囲む部分が毛皮質(コルテックス)。

メラニン色素がある部分で、水分が多くて弾力のもと。

「毛」の90%近くは毛皮質だと思ってください。

 

一番外側が毛小皮(キューティクル)。

毛小皮は一枚の膜ではなく、

ごく小さな透明なうろこのようなものが

すこしずつ重なったもの。

硬くて、きらきらと光沢がありますが、

摩擦には弱くなっています。

毛小皮がはがれてしまうと、

中にある毛皮質のケラチンから水分が抜けてしまいます。

乾燥して、割れ目が入ると…そこが枝毛になってしまいます。

だから「キューティクルを守る」ことが

大事になってくるのですね。

 

「髪が爪と同じ」ということは、

髪の見える部分も

「細胞として生きていない(死んでいる)」ということ。

髪の見える部分(毛幹)も、爪同様タンパク質の固まり。

見えない部分(毛根)の、

皮膚の奥にある毛包の中、毛母細胞が髪の故郷です。

毛母細胞が血液から酸素と栄養分を受け取り、

タンパク質の固まりの毛を作ってくれます。

できる髪は1日で、約0.3㎜。

新しく作られた髪が元から先へと押し上げて

「髪が伸びる」のです。

 

髪の発毛・育毛は、

この毛母細胞がちゃんと働いてくれる環境を

整えることに他なりません。

細胞が元気に働くためには…

「全身の器官系が働いてくれること」でしたね。

あとは、毛の出口(毛穴)をふさがないように清潔に保つこと。

 

そしてホルモンの影響も無視できません。

一般的に、男性ホルモンは毛母細胞の働きを邪魔します。

男性の中高年に「はげ(脱毛症)」が増えるのは

男性ホルモンのせいです。

だから発毛・育毛剤には、

男性ホルモンを邪魔する成分(薬)が含まれていることもあります。

近年、若い女性でも「脱毛症」が増加しています。

女性ホルモンは発毛促進に働くので、

従来はごく例外的なものと考えられてきました。

でも出産前後のホルモン変化や各種ストレスで

女性ホルモンの分泌が変になると、

発毛サイクルに異常が出てきます。

さらにはヘアスタイルによる負担等があると、

いつ「脱毛症」になってもおかしくありません。

「脱毛症」は男性だけのものではないということ、

忘れないでくださいね。