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5 アウトロダクション

日本の「国民の健康」を守るための状況について確認してきました。

おそらく「保険スタイルの限界」を超えてしまったのが現状です。

社会変化とする予想外の事態が、あまりに急なスピードで進んだため、

全てが後手に回った結果です。

 

制度としての医療全体がどこに向かうかはわかりませんが。

もしかしたら「金のない人は病院にかかるな!」といった

アメリカのようなスタイルになるのかもしれません。

 

現在でも、ごく一部の先進的医療については保険の対象外。

つまり「全額自分で払わないと受けられない医療」です。

先進的医療を現在の健康保険にそのまま組み込んでしまうと、

保険料は値上がり、

医療機関にかからない人はとんだ払い損になってしまいます。

損はしたくないからと

本来受療する必要のないちょっとしたことで医療機関にかかっては、

医療費は減るどころか増えていってしまいますよね。

 

また、医療の高度化が進むことは、

治療可能性が上がるだけでなく医療にかかる費用が上がることにもなりえます。

前提となる薬剤や器材の高額化は、

治療効果だけでなく会計時支払額に反映される…ということです。

 

もしかしたら、

健康保険制度の適用範囲が現在よりも制限されるかもしれませんね。

健康保険制度の貯めておく金銭(財源)を空っぽにしないために、

保険としての金銭援助対象を絞る(出ていくお金を強引に減らす)のです。

極端な制限がかかると…

実質的に「虫歯を削って冠?それは高度医療だから保険外!」

なんて笑えない話になってしまう可能性があるのです。

 

少々おあとがよろしくありませんが。

一通り、医療に関係する法制・行政を確認してきました。

憲法や法律が、何のために、何を定めているのか。

法制・行政が、何をしようとして、どう変化してきたのか。

 

極めて単純化した、大まかな枠としてのおはなしでしたが、

その流れと必要性については分かってもらえたはず。

一度流れをつかんでおけば、細かい話が始まっても怖くありません。

 

「この法律は、何のために必要なのかな?」

「どうしてこの制度を変更しなきゃいけなかったんだっけ…?」

前提になるものさえ分かっていれば、

質問の形が変わっても心配いりませんよ。

 

以上が「衛生統計・法制行政」のおはなしになります。

衛生統計がただの数字ではないこと。

法制行政はただの暗記ではないこと。

両方の分野を確認した今なら、最初の紹介文の意味が理解できるはずです。

ここからもう1度読み直すと、

両者の関係性がくっきりと見えてきますよ。

 

そしてここでしたおはなしは「入門」。

…正しく言うなら「入門の入り口」です。

詳しい内容については、

みなさんがこれから各科目で勉強していってくださいね!