2 性感染症(STD)のおはなし(5)
TORCHのO…「その他」のおはなしです。
ここにはいろいろな病気が入ります。
HIV、クラミジア、梅毒、淋菌などなどですね。
今回は近年増加傾向にある梅毒についてのおはなしです。
梅毒と聞いて「昔の病気!」と思ったら、それは間違い。
近年、若者を中心に患者数増加中です。
原因は、細菌でもウイルスでもない原虫。
梅毒トレポネーマという、スピロヘータ(原虫の1種)です。
口や性器等から、接触によって感染します。
コンドームをしていれば防げますが、
コンドームをしなかったらうつると思ってください。
梅毒の怖いところは、症状が出るまでに全身に病巣が広がること。
感染から約3週間は潜伏期。
感染後3週間ほどで、赤いしこりやリンパ節の腫れが出てきます。
これ、よっぽど意識していないと
「風邪ひいた?」で過ごしてしまいます。
感染約3か月後でバラ色の発疹(バラ疹)、
湿ったいぼ(扁平コンジローマ)、
盛り上がった赤い丘疹、脱毛。
ここで気付かないと…次は3年後以降のゴム状の腫瘍(ゴム腫)。
おそらく、もう原因になった行為の存在も忘れているころです。
病巣は脳にも及び、精神状態の変容や痴呆を引き起こします。
胎児では、感染しても約2/3は無症状。
症状が出ると、発熱・発疹、肺炎、肝臓や脾臓の腫大など。
治療をせずに放置すると、
成人と同じ経過をたどりますよ。
予防には、毎度おなじみコンドーム。
もっと根本的に
「梅毒に感染している人とは性行為をしない」方がいいのですが…
いかんせん感染している本人が
感染したことに気付いていないことがほとんど。
だから、予防策として「コンドームを使う」ことが有効なのです。
感染してしまったら、しっかりと治療。
「治せる」病気ですから、
「もしや…」と思ったら抗体検査を受けて、
抗菌薬を指示通りに飲んでください。
次回は、クラミジアと淋菌についておはなししますね。