3 ピルのおはなし(2)
今回はピルと月経困難症についてのおはなし。
月経の痛みや経血量には「著しい」個人差があります。
寝込んでしまい、2時間も持たずにトイレに駆け込む人もいれば、
痛みが全くなく経血量も少量、
2日もすれば平時と変わらない…なんて人もいます。
ひどい月経痛や月経量のときには、
月経困難症の可能性がありますね。
月経困難症は月経期間内に「病的」症状が起こるもの。
月経痛、頭痛、イライラ、吐気、下痢等が代表的です。
月経困難症を引き起こすのは、
女性3大良性疾患とも呼ばれる
「子宮筋腫」、「子宮内膜症」、「子宮腺筋症」。
これら原因疾患のないものは「機能性月経困難症」です。
この機能性月経困難症に、ピルが効きます。
体の中でLHサージを利用して月経周期を維持しているときは、
「確実に相が入れ替わって、
受精・妊娠可能な状態になるように」が最重要事項でした。
だから通常、
必要な量より多め(確実性重視!)の各種ホルモンが出ます。
そうすると、月経痛の原因になるプロスタグランジンも
黄体ホルモンのせいで多めに作られます。
プロスタグランジン…聞いたことありますね。
生化学の「アラキドン酸からできるもの」の1つです。
https://5948chiri.com/bioc-8-5/
プロスタグランジンには炎症作用だけでなく、
「子宮収縮作用」もあります。
出産時に「陣痛促進剤」としても使われるのはこのためです。
そして月経時の子宮内膜剥離にも関係しています。
では、ピルを使うと何が違うか。
ピルは体の外側から女性ホルモンを入れるもの、でしたね。
主目的は「排卵停止(避妊)」です。
月経周期を保つ最低限のホルモン量があれば十分です。
黄体ホルモンの量、少なくて済むことが分かりますね。
そうすれば、できるプロスタグランジンも少なくなります。
結果、炎症(に関係する)物質由来の痛みを
少なくすることができるのです。
あとはプロスタグランジンを作る(切り取る)ところを
邪魔する薬を鎮痛剤として使えばいいのですね。
ホルモン量が「低め(少量)」になるということは、
月経前症候群(PMS)も軽減します。
月経前症候群は、生理前(3~10日前)に現れる
身体的・精神的に不快な症状が病的に強いもののこと。
腹痛、頭痛、イライラ、眠気…等ですね。
女性ホルモンはステロイドホルモン。
体内ステロイド量は、
精神面にも影響を及ぼすことを覚えておくといいですよ。
これが分かっていれば、
「マタニティハイ」や「マタニティブルー」も
イメージしやすくなるはずです。
次回は、ピルの副作用に関係するおはなしです。