2 呼吸器系のおはなし(1)
呼吸器系のおはなしから始めましょう。
呼吸器系は何をするところかというと、息を吸って、息を吐くところです。
ヒト個体レベルの呼吸は、外呼吸といいます。
普段している「スー、ハー」…酸素を吸って、二酸化炭素を吐くのが外呼吸です。
これに対して、細胞の呼吸は内呼吸といいます。
細胞が酸素を使ってATPを作り、その結果二酸化炭素を出すことですね。
いきなりですが、注意。
細胞は酸素だけではATPを作ることはできません。
細胞がATPを取り出す(異化)ためには、グルコースが必要でしたね。
つまり、消化器系が働かないと内呼吸がままなりません。
もちろん、消化器系から細胞のところまで運んでくれる循環器系も必要ですよ。
ご存知の通り、グルコース以外からでもATPを作ることはできますが…
しない方がいいことは生化学でおはなししましたよね。
脂質とタンパク質のおはなしと、
それぞれの代謝のおはなしを復習しておきましょう。
タンパク質は「他に作りたいものがたくさんあるから」、
脂質は「ATPはたくさんできるけど、ケトン体でpHが…」でしたよね。
外呼吸と内呼吸が分かったところで、
ここからは一応外呼吸メインの話になります。
とはいえ内呼吸ができないと、外呼吸はできませんからね。
細胞レベルとヒトレベル(個体レベル)は、常に関係してきますよ!
ここからは「呼吸」といったら、一応、外呼吸の意味だと思ってくださいね。
呼吸に必要なものは「通り道」「交換所」「交換のきっかけ」です。
空気が通る場所が「通り道」、
空気中の酸素と血液中の二酸化炭素を交換するところが「交換所」、
酸素と二酸化炭素が入れ替わるきっかけが「交換のきっかけ」です。
このどこかがだめになると、呼吸できなくなってしまいます。
「通り道」は「気道」と呼ばれます。
具体的には、鼻・口、咽頭・喉頭、気管・気管支が「気道」にあたります。
空気が通るということは、各種異物も通ります。
そんな異物を体の外に出そうとする働きが、「くしゃみ」「せき」「痰」です。
くしゃみは鼻や口(鼻腔・口腔)あたりに異物があるとき。
せきは咽頭・喉頭(のどの奥)あたりに異物があるとき。
痰は気管・気管支あたりに異物があるときの排出方法です。
これらはとても大事な働きです。
気道の先にあるのは風船状の肺胞。
入ってきた異物は、気道経由でしか外に出せません。
極論すれば「ちくわ」になって、下からも体の外に出せる消化管とは大違いです。
気道は異物排出のためにいろいろな工夫をしていますよ。
次回、その工夫を説明していきますからね。