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11 各論6:呼吸(呼吸器系):気道(1)

今回からは「呼吸」に関係が深いおはなし。

そのものずばりの呼吸器系と、中枢(と精神)に働く薬ですね。

 

呼吸器系のおはなしを始める前に、呼吸に必要なものを確認しましょう。

空気の通り道(気道)、

酸素を交換するところ(肺胞)、そして交換のきっかけ(分圧)でしたね。

交換のきっかけ(分圧)については、化学や解剖生理学でおはなし済み。

そして空気を出入りさせるためには胸郭(骨も筋肉も)が必要で、

胸郭が動くためには中枢からの命令が必要なことも勉強済みです。

あとは、血液中に取り入れた酸素を運ぶために、

赤血球と血液の流れ(循環器系)が必要でしたね。

循環器系に効くお薬は、「脈・血圧」のところでおはなししましたよ。

 

呼吸器系に効くお薬として、

最初に気道に効く薬、次に赤血球に関係する薬を紹介します。

呼吸の命令をするところに効く薬は、

次の「中枢」とのつながりが深いので後にまわしますからね。

 

気道(特に気管・気管支)は空気の通り道。

つぶれないように外側を軟骨で補強して、

内側には異物を追い出すための繊毛を生やした管でしたね。

 

気管や気管支には平滑筋がついているので、

筋肉が収縮すると空気の通り道が狭まります。

筋肉が弛緩すれば、空気の通り道が広くなります。

交感神経系優位モード(闘争か逃走か)のときには、

気管支の筋肉を弛緩させてたくさんの酸素を取り入れようとします。

副交感神経系優位モード(リラックス…)のときには、

そこまで酸素は必要ありませんから気管支の筋肉は収縮するのですが…。

過度の収縮では、酸素不足になって苦しくなってしまいます。

お薬の出番のようですね。

 

気管支拡張薬は、

交感神経系のβ受容体を刺激する薬(アドレナリン)がイメージしやすいですね。

アナフィラキシーショックの気道閉塞による窒息防止に使う、

アドレナリン注射がありましたね。

 

他にもシロップ剤やテープ剤として使われる

ツロブテロール塩酸塩(ホクナリン)もβ2受容体刺激薬です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00050979

薬自体の過敏症には禁忌。

併用注意には、不整脈を起こす危険のある

利尿薬やステロイド剤、交感神経系刺激作用のあるカテコラミン製剤が含まれます。

併用注意にあるキサンチン誘導体は、気管支喘息のお薬です。

 

気管支喘息は気管支に慢性的な炎症を起こしてしまったもの。

一度炎症を起こしてしまうと、

小さな刺激でも腫れて、空気の通り道が狭くなります。

呼吸のたびに喘鳴(ゼイゼイ音)が出てしまうのはそのためです。

まずは気道を広げて酸素を全身に!

そして炎症も抑えたいところですね。

 

次回は気管支喘息に使うお薬を紹介していきますよ。