2 呼吸器系のおはなし(11)
酸素不足状態を知ることができる
パルスオキシメーターについて前回おはなししました。
今回は酸素不足状態の原因を知るときに役立つ
「スパイログラム」を説明しましょう。
スパイログラムというのは、
スパイロメーターという器具を使ったグラフです。
多くの用語が出てくるので、
大事なところだけを最初に理解しましょうね。
スパイログラムは何を記録しているのかというと、
呼気と吸気の量を記録したもの。
上に行くと空気を吸った量、
下に行くと吐いた量を示しています。
途中で検査担当の人に
「はい、ここから大きく息を吸ってー」と言われます。
するとグラフが大きく上へと向かいます。
「限界まで吸ったら、限界まで吐いてー」と言われると、
今度はグラフが下へと向かいますね。
「限界まで吐いたらー、普通の呼吸ー」と言われて、
普通の「スー、ハー」に戻ります。
この限界まで吸ったときと
限界まで吐いたときの最大値が、肺活量です。
「努力肺活量」と呼ぶこともありますね。
約2000~4000㎖(約2~4ℓ)と個人差がありますよ。
でも、吐ききった後でも肺の中には空気が残っています。
これが残気量で、約2500㎖あります。
肺胞がぺちゃんこにならないように、
膨らみやすい状態を維持するために必要な「残り」ですよ。
普通の「スー、ハー」は1回換気量と呼びます。
あと、覚えておきたいのが「1秒量」という言葉です。
これは限界まで吸った後、限界まで吐くときに
「できるだけ勢い良く吐き出してー!」と言われて、
勢いよく吐いた呼気の最初の一秒に吐き出せた空気量です。
ここまで分かると「1秒率」と「%肺活量」という言葉を
理解できるようになります。
1秒率は分母に努力肺活量、
分子に1秒量を置いて100をかけたもの。
「限界状態から吐き出すとき、
最初の1秒で何%を吐き出せますか」を示します。
これが低い数字(%)なら、空気の通り道が狭いということ。
細いストローではごくごく飲めないように、
細い気管・気管支では空気を勢いよく通せません。
1秒率が低い病気は「閉塞性障害」と呼ばれますよ。
気管支ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(COPD)が
代表例ですね。
%肺活量は年齢・性・体格等から計算した
予測肺活量を分母、
実際に測った実測肺活量(=努力肺活量)を
分子に100をかけたもの。
「あなたなら、これぐらい肺活量がありそうですけど、
どうですか?」を示します。
これが低い数字(%)なら、
肺胞が思ったよりも膨らめていないということ。
ゴム風船がゴムの劣化でうまく膨らめていない状態です。
肺胞が拘束されているように
うまく膨らめていない…ということで
%肺活量が低い病気は「拘束性障害」と呼ばれます。
こちらには気胸や胸水、間質性肺炎が含まれますよ。
スパイログラムについては、
他の科目(多分病理学)の勉強が進むと出てくるはずです。
国家試験でも「閉塞性障害」
「拘束性(換気)障害」という言葉は出てきます。
何を基準にして、何を見ているのか。
早めにイメージできるようにしておくと、
あとの勉強が楽になりますよ!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220822更新)