2 呼吸器系のおはなし(8)
筋肉が収縮できないと呼吸できないおはなしです。
呼吸筋は横隔膜と肋間筋。
あとは努力呼吸時の補助呼吸筋群でしたね。
これらの筋肉は、
1つ1つがバラバラにうごいても意味がありません。
横隔膜ですら、3つの筋肉。
同じ働きを担当している筋肉がまとまって動いて、
初めて意味があるものなのです。
…そんなこと言われたって、どうやってまとめるの?
そこで「呼吸中枢」や「反射」のおはなしになるのです。
でも、これらのおはなしは本来「神経系」でするもの。
ここで深入りすると戻ってこられません。
だから、呼吸を理解するうえで
必要最低限だけをここで説明しますよ。
まず、反射というのは
「決まった情報に対して、決まった命令をすること」です。
例えば、私たちは熱いものに触ってしまったら、
手を引っ込めますよね。
このとき「危ないから手を引っ込めよう」と考えて、
手を引っ込めているのではありません。
「考え」ていたら、火傷(やけど)してしまいます。
「熱い」という情報が来たら、
手を引っ込めるように最初から決めておくことで
火傷の可能性を最小限にとどめているのです。
反射をもう少し細かく見ると
「受容器→中枢→効果器」と分かれています。
受容器というのは、情報を受け止めるところ。
中枢というのは、命令を出すところ。
効果器というのは、働く(ここでは動く)ところです。
反射の例でよく出てくる、膝蓋腱反射で確認してみましょう。
膝の下を軽くたたくと、足先がぽこんと上がる、あの反射です。
膝の下をぽこんと叩くと、筋肉の長さを感じ取る神経が
「縮んだよー」という情報を感じ取ります。
情報を受け取ったから、ここが「受容器」ですね。
その情報は脊髄に届きます。
脊髄が「これなら決め打ち行動でいいな!
筋肉、縮んで!」と命令します。
命令を出していますので、ここが中枢ですね。
この命令は大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉です)に届きます。
「オッケー!縮むのね!」
大腿四頭筋が縮むと、足先が引き上げられます。
命令を受け取って動いたので、ここが効果器です。
ここまでが一瞬で起こる…これが「反射」です。
ここまで読んでくれれば分かるように、
反射のとき、大脳まで情報が届いていません。
つまり「意識」している必要はないのです。
そもそも、
全部の情報を大脳が処理していたらパンクしてしまいます。
大脳の手を煩わせることなく、
できるだけ早く決まった刺激に
決まった反応をするためにあるのが「反射」です。
寝ていても、意識せずとも、呼吸ができるのは
呼吸中枢が「反射」で動いてくれているからなのですね。
次回は呼吸中枢の具体的なコントロールを見てみましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220822更新)