3 循環器系のおはなし(11)
大事な場所に行っている血管。
今回は頭。
脳へと向かう血管のおはなしです。
動脈弓や腕頭動脈のおはなしに少しずつ追加していきます。
「頭と腕に向かうから」腕頭動脈…なのですが。
実は右と左で枝分かれの仕方が違います。
右は動脈弓から腕頭動脈が出て、
そこが枝分かれして頭に向かう「(右)総頚動脈」と
腕に向かう「(右)鎖骨下動脈」になります。
(右)鎖骨下動脈からは
頭部に向かう「(右)椎骨動脈」がさらに枝分かれします。
「右は腕頭動脈が出て、
頭行きと腕行きの2つに枝分かれ」ですね。
左は動脈弓から
「(左)総頚動脈」と「(左)鎖骨下動脈」が出ます。
(左)鎖骨下動脈からは、
「(左)椎骨動脈」が枝分かれして頭に向かいます。
…腕頭動脈、ありませんね。
ここがポイント。
腕頭動脈は、右側にしかありません。
理由は受精卵からヒトになる発生途中の都合ですが、
細かいので省略!
「動脈弓から右は腕頭動脈の1本で出る。
左は腕頭動脈なしの総頚動脈と鎖骨下動脈の2本で出る。」
これだけで十分です。
さて、頭に向かう動脈のうち
外頸動脈は頭の表面(顔など)に向かいます。
頭の中(脳)に向かうのは、
内頚動脈と椎骨動脈です。
脳はとても大事なところなので、
動脈どうしが合流しています。
それが大脳の下のところにある
「ウィリス動脈輪(ウィリス環)」です。
大脳を下…あごの方から見たとき、
左右の内頚動脈が真ん中付近から
左右前側に向かって血液を届けます。
左右椎骨動脈は脳底動脈1本になり、
脳の左右後ろ側に血液を届けます。
左右内頚動脈と
(左右椎骨動脈合流後の)脳底動脈に合流がないと、
前がごっそり血行不良
(もしくは後ろがごっそり血行不良)になる危険があります。
それはまずいので、
内頚動脈が分かれた枝(前大脳動脈と中大脳動脈)と、
脳底動脈が分かれた枝(後大脳動脈)の間で
環状構造を作りました。
これが吻合というにはあまりに大きい「ウィリス動脈輪」です。
ただ、大きな枝をつなぐ動脈はそこまで太くありません。
太くない枝に大量の血液が流れるようになると、
破裂してしまう危険が高まります。
腹部の血管で「メドゥーサの頭」を説明しましたが、
あちらは静脈、こちらは動脈。
血液の勢いが強くて、
脳という全身のコントロールセンターである以上、
こちらは危険度がけた違いに高いですからね!
次回はリンパ系のおはなしをします。
そのあと、「めぐるもの」血液へと入っていきましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)