3 循環器系のおはなし(2)
4つの部屋、ちゃんと覚えましたか?
心臓が動くための仕組みのおはなしに入りますよ。
心臓が止まらずに動き続けてくれるのは、
心筋という特殊な筋肉と、
刺激伝導系という心筋の一部の細胞群のおかげです。
刺激伝導系は、
本当は場所ごとに名前がついていて複雑なのですが…。
最初は大まかな刺激の伝わり方を理解するために
「逆『て』の字型に球が付いたもの」でイメージしましょう。
そして、心臓の4つの部屋が収縮していく順番は
「①右心房→②左心房→③両方の心室」です。
ここに、刺激伝導系の刺激伝導順を重ねますよ。
まず、刺激伝導系の球状の部分(洞房結節)から
刺激(電気)が生まれます。
するとそこにある右心房は刺激を受けて収縮します。
右心房にあった血液は、右心室に入りました。
これが①。
できた刺激(電気)は、
刺激伝導系の足に沿って同じ速度で伝わっていきます。
すると、次に届くのは左心房。
左心房にあった血液は左心室に入ります。
これが②ですね。
最後に左右の心室に刺激が伝わります。
両方の心室にあった血液は、
肺動脈と大動脈へと流れ出していきます。
三尖弁と僧帽弁があるので、心房へは逆流しません。
動脈に流れ出した後も、
肺動脈弁と大動脈弁があるので
心室に戻ってくることはありません。
これで③。
…ちゃんと、順番通りに心臓の4つの部屋が収縮してくれました。
これで、心臓から血液が全身に送り出せるのです。
最初に、4つの部屋の収縮順番と
刺激伝導系の刺激伝達順を確認しました。
刺激(電気)は、筋肉細胞にとっては「縮め!」の命令。
神経系の運動神経は、電気刺激で筋肉に収縮命令を伝えます。
心筋は、
筋肉ながら自分で電気刺激を作ることができるのです。
「心筋は自律性がある」と言われるのはこのためです。
電気刺激は、1つの細胞に伝わった後、
周りの細胞へと広がっていきます。
ここのおはなしを理解するためには、
「細胞の膜電位」を理解する必要があります。
そして、ミネラルの分布が重要な理由もここにあります。
生化学や生理学、栄養学等で勉強するところですね。
基本中の基本は
「ナトリウムイオン(とカルシウムイオン)は細胞外、
カリウムイオンは細胞内に多い」です。
これ、覚えていない人は今すぐ覚えましょう。
それくらい大事なことです。
次回は、基本をもとに細胞の膜電位を説明していきますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)