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9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(10)

【おまけ:骨と関節の基本】

骨はコラーゲン線維(有機基質)と

骨塩(無機塩)からなる硬組織。

Ⅰ型コラーゲン(タンパク質)が、

有機基質の9割を占めます。

無機塩の約7割は

ヒドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)。

水も5%ほど含まれますよ。

骨の目的は、体の支え(支持・支柱)になり、

重要器官を保護すること。

同時に造血能力(骨髄は血球のふるさと)と、

カルシウムとリンの貯蔵庫であることもお忘れなく!

成人では耳小骨と膝蓋骨を入れて

206個の骨がありますよ。

 

骨にはいろいろな形がありますが、

一番イメージしやすい骨の形が「長骨」。

中央の円柱部が骨幹。

両端の少し広がっているところが骨端。

骨幹と骨端をつなぐところが骨端線です。

骨幹の外側にあたるのが皮質骨。

たくさんの骨細胞がある(緻密な構造)なので、

緻密骨とも呼ばれます。

皮質骨は曲げに強く、

壊れにくい(強度も剛性もある)のは、その構造のせい。

骨に酸素等を送る栄養血管の周りを、

同心円状に骨層が取り巻き、

ハバース系(骨単位)を作っているからです。

芯に血管の入ったバウムクーヘン

(ただし白くて層が硬い)をイメージです。

円柱(円筒)は、

横からの力にはそれほど強くありませんが、

縦からの力にはとても強いものです。

トイレットペーパーの芯を捨てるためにつぶすとき、

円柱(円筒)の途中に(横から)力を加えてつぶしますよね。

断面方向(縦から)に力を入れたら、

なかなかつぶれませんよ。

 

「なぜ骨に血管が?」そう思ったら、

まず思い出すものは骨髄。

皮質骨の中央部分には骨髄があります。

造血幹細胞のいるところで、血球たちの故郷ですね。

 

さらに骨は生まれ変わるために、

骨芽細胞と破骨細胞の働きが必要でした。

破骨細胞が少しずつ壊し、骨芽細胞が少しずつ作り直し。

これが骨代謝(骨のリモデリング)。

骨芽細胞も破骨細胞も「細胞」ですから、

生きて働くためには

血液が運んでくれる酸素と栄養物が必要ですよ。

骨端部は主にスポンジ状の海面質で出来ています。

骨全体をぐるりと覆うのが骨膜。

ここに骨芽細胞に分化できる細胞がスタンバイしています。

血管だけでなく、神経も通っているところですね。