3 循環器系のおはなし(8)
大事なところなので、
体循環と肺循環を復習しましょう。
体循環は
「左心室→大動脈→毛細血管(細胞)→大静脈→右心房」。
肺循環は
「右心室→肺動脈→毛細血管(肺胞)→肺静脈→左心房」。
こう並べれば、どこが違うか分かりますね。
どこから出て、どこを通って、どこに戻るのか。
よく試験に出ますから、しっかり理解しましょう。
そして、
動脈血と静脈血のどちらが流れているのかも一緒に理解!
体循環は細胞に届く前が動脈血で、
肺循環は肺胞を通過した後が動脈血です。
肺胞で酸素が血液(体内)に取り込まれるところについては、
「2 呼吸器系」を読んでくださいね。
復習が終わったので、
特殊な循環についておはなししますよ。
「胎児循環」と「門脈系」です。
胎児…お腹の中にいる赤ちゃんは、肺で呼吸していません。
胎児の呼吸の場所は「胎盤」です。
胎児は胎盤で母体から酸素を受け取り、
母体へ二酸化炭素を渡します。
肺で呼吸していない以上、
肺と他の全身細胞を分ける理由はありません。
だから、胎児には「肺循環」はありません。
左右の心房の間に「卵円孔」という穴が開いていて、
大動脈と肺動脈の間は
「動脈管」というものでつながっています。
卵円孔と動脈管があるために、
胎児は胎盤で受け取った酸素の多い血液を
(肺を含め)全身に送り、
細胞に酸素を届けた後の血液を
胎盤に向かわせることになるのです。
そんな赤ちゃんは、産まれてきたら肺で呼吸スタート。
胎児循環よ、さようならです。
肺呼吸が始まると、
肺に向かう血液量が増え、動脈管が閉じます。
肺から戻ってくる血液が増えたことで、左心房圧が上がり、
最終的に卵円孔が閉じます。
これで、普通の「体循環」と「肺循環」になりますよ。
門脈系というのは、
小腸から肝臓をつなぐ血管のこと。
小腸から出た毛細血管は、いきなり大静脈には入りません。
小腸から出て肝臓に入り(ここが門脈)、
肝臓から出たあとで大静脈に合流します。
その理由は、小腸と肝臓の役割。
小腸は食べ物の栄養を体内に取り入れるところ。
肝臓は、
体内の合成・分解(解毒も)・貯蔵・消費工場です。
体内に取り入れた栄養は、肝臓にまず運び込みたいですね。
肝臓は、栄養を体に必要な形に合成・分解してくれます。
毒(や薬)を吸収してしまっても、
肝臓なら分解して安全な形にしてくれます。
だから、小腸から出た「栄養分たくさんの血液」を
直行便で肝臓に運び込むのが「門脈系」なのです。
そんな門脈系は、肝臓の調子が悪いと大変なことになります。
次回、門脈系への悪影響を確認しましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)