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12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑧うつ・双極性障害の薬(2)

イミプラミン塩酸塩の慎重投与対象からですね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00001871

慎重投与対象は禁忌の分類から考えるとイメージしやすくなりますよ。

心電図が変になる可能性のある人ということで、

(心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈といった)心疾患のある人や、

甲状腺機能亢進症の人。

低カリウム血症もQT延長の危険因子と考えられますので、慎重に。

心臓に限らず電気刺激に変化が出るという意味で、

けいれんの出る可能性のあるてんかんの人も慎重対象です。

心臓(循環)に関係がありますから、

高血圧発作の可能性がある副腎髄質腫瘍のある人や、

高度血圧低下の危険性ゆえに低血圧の人に対しても慎重に使う必要がありますよ。

 

抗コリン作用で悪化しうる排尿困難、眼内圧亢進、高度慢性便秘の人も慎重対象。

重い肝臓や腎臓障害のある人や高齢者も、抗コリン作用が出やすくなりますね。

4歳未満の小児に対しては安全性未確立。

4歳以上の小児は、慎重投与の対象です。

 

なお、妊娠・妊娠可能性のある人に対しては「使わないことが望ましい」と

はっきり書いてあります。

乳汁への移行と、動物実験での催奇形性、離脱症状が報告されていますね。

 

あとは精神症状増悪が出る危険性がありますので、

自殺念慮・企図のある人や衝動性高い併存障害のある人、

脳の器質的障害や統合失調症の素因のある人にも慎重に使う必要があります。

特に忘れてはいけないのが、双極性障害の人が慎重対象に入ること。

本剤で「うつ」が一段落する…だけならよかったのですが、

一気に「そう転(躁転:そう状態に入ってしまう)」して

自殺企図に向かう危険性があるからですよ。

 

併用禁止は、前回も禁忌で確認したMAO阻害薬。

併用注意は…これまた多いですね。

大まかに分けて、

「併用した薬の効果が弱まる」、「併用した薬の効果が強まる」、

「本剤の効果が弱まる」、

「本剤の効果が(ものによっては併用薬の効果も)強まる」の順でおはなししていきます。

他の薬と比べて「本剤の効果が強まる」対象が多いことが注目点ですよ!

 

併用した薬の効果が弱まるのは

降圧薬のグアネチジンや副交感神経刺激薬のピロカルピン。

これらは本剤と逆作用だからですね。

 

併用した薬の効果が強まるのは

抗てんかん薬のフェニトイン、抗血栓薬のワーファリン、インシュリン。

フェニトインは薬の代謝阻害の関係上、

残り2つは他の三環系抗うつ薬で効果が強まった報告があったからですね。

 

本剤の効果が弱まるのは

抗てんかん薬のフェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体、

抗結核薬のリファンピシンです。

どれも代謝酵素を誘導するから、ですね。

 

次回はたくさんある「本剤の効果が強まる」併用注意薬のおはなしですよ。