4 消化器系のおはなし(4)
口の重要性が分かりましたね。
食べ物は物理的にも、化学的にも細かくなったはずです。
では、先に送ってあげましょう。
嚥下(えんげ)は「飲み込み」のこと。
これ、じつは結構な大仕事です。
飲み込みに必要なのは「口を閉じる」、
「舌がのどの奥に食べ物の塊を押し付ける」、
「周囲の筋肉が協同して動く」です。
どれが欠けても、うまく飲み込むことはできません。
一応飲み物は「ラッパ飲み」ができますが、
食べ物は呑み込めないはずなので、
無謀なチャレンジをしないように!
では、1つずつ確認。
口を閉じる筋肉は、口周りの口輪筋。
数少ない「輪っか」になっている筋肉です。
目の周りの筋肉も眼輪筋という「輪っか」筋ですね。
加齢等で口輪筋が衰えてしまうと、
口がうまく閉じずに嚥下に問題が出てきます。
舌が食べ物を押し付けるためには、舌が動かないといけません。
舌の動きは脳神経の1つ
「舌下神経(第12脳神経)」の担当範囲。
なお、舌の感覚は3本の脳神経で分担しています。
ざらざら、つるつるといった舌触りは「三叉神経(第5脳神経)」、
前2/3の味覚は「顔面神経(第7脳神経)」、
後ろ1/3の味覚は「舌咽神経(第9脳神経)」担当です。
だ液分泌も前のほうにある舌下腺と顎下腺は顔面神経担当で、
後ろの耳下腺は舌咽神経担当ですよ。
位置関係を確認しながら、分担を理解してくださいね。
ここについては脳神経系でまたおはなししましょう。
「周囲の筋肉の協同」を知るためには、
咽頭と喉頭の位置関係を見てみましょう。
…食べ物が食べ物ルートの食道に落下していく途中に、
空気ルート入り口の喉頭がありますね。
空気ルートに入ってしまうとむせてしまってうまく飲み込めません。
だから「空気ルートに蓋」をする必要があります。
これが喉頭蓋ですね。
しかも食道に送ろうとして口に戻ってきても困りますよね。
だから舌と軟口蓋で、
食道ルート以外に行かないように蓋をする必要もあります。
…蓋をして、他に行先がないようにしても
重力だけに任せておいたのでは
なかなか食べ物の塊が食道に落ちないこともあります。
その間空気ルートに蓋をしているのでは息が苦しくて困ります。
だから、食道ルートに早く入るように圧力をかけます。
これらすべてを順番よくつなげることで、
「ごくん!」と呑み込めるのです。
…嚥下(飲み込み)って、大変ですね。
いちいち命令するのは大変なので、
嚥下は自律神経の決め打ち行動に任せてしまっています。
だから、自律神経がおかしくなってしまうと
「物が飲み込みにくい…」という
症状が出ることもありますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220912更新)