8 各論2:原虫(1)

原虫は、原核細胞。

もうヒトとは明らかに違うブロックです。

現在の日本では、

総論でおはなししたようにあまり話題に上ることはありません。

でも海外ではいつ入り込まれてもおかしくない微生物のままです。

そんな原虫に対する薬は、

特定の医療機関で「稀用薬」としてまとめてあります。

「近くの病院に行けばあるんでしょ?」なんて思ってはいけませんよ。

海外渡航前後のワクチンや治療薬にたどり着くためには、

特定医療機関にかかる必要性がありますからね。

 

原虫は大きく4つに分けることができます。

アメーバのいる根足虫類、鞭毛の目立つ鞭毛虫類、

胞子をつくる胞子虫類、細かい毛の繊毛虫類です。

このうち繊毛虫類は看護師国家試験に出てこないので省略。

根足虫類、鞭毛虫類、胞子虫類とおはなししていきますよ。

 

(1)根足虫類

根足虫類の代表は赤痢アメーバ。

7日以内に報告が必要な5類感染症です。

シスト(嚢子)の形で、水や食べ物にのって経口摂取でヒト体内へ。

性行為の多様化のせいで、

アナル・オーラルセックスで移ることもありますね。

小腸で栄養型(いわゆる「アメーバ」の形)になり、

大腸で悪さをすると「腸管アメーバ症」です。

出血によって赤くなった下痢(赤痢)、イチゴゼリー状の血便が特徴です。

痛みが出て、便意は頻繁にあるのに便がわずかしか出ない

「テネスムス」も特徴なので、覚えておきましょう。

大腸以外にも行ってしまうと「腸管外アメーバ症」。

肝臓に行って上腹部痛や熱、食欲不振や吐き気・嘔吐を引き起こす

「肝膿瘍」になることが多いですね。

 

他にもアカントアメーバやネグレリアが根足虫類にいます。

アカントアメーバは水や土にいて、

コンタクトに付着するとアメーバ性結膜炎の原因です。

1日の使いきりレンズを除くコンタクトに

煮沸消毒が必要な理由、理解できますね。

ネグレリアと呼ばれるアメーバは、いわゆる「殺人アメーバ」のこと。

淡水や土にいて、池などの遊泳によって鼻粘膜から侵入。

嗅神経経由で脳へと向かい、アメーバ性髄膜脳炎を引き起こします。

一度脳炎を起こしてしまうと死亡率が高いので「殺人アメーバ」。

日本での報告は多くありませんが、

「ゼロ」ではないことを頭の片隅に入れておきましょう。

 

(2)鞭毛虫類
鞭毛虫類は5類感染症のジアルジア症の原因(ランブル鞭毛虫)や、

「顧みられない熱帯病(NTD)」に含まれる

トリパノーマ症やリーシュマニア症の原因が含まれます。

でも、看護師国家試験に出てくる可能性があるのは膣トリコモナスくらい。

トリコモナス膣炎の原因です。

原則として性行為で移り(STD、SID)、男性では無症状。

女性ではトリコモナス膣炎をおこし、

悪臭帯下、不快感、外陰部のかゆみ等が出てきます。

治療をして「治った!」と思っても、

性交によって再度うつし合う「ピンポン感染」を起こす可能性があります。

パートナーと一緒に治療が必要になりますね。

性感染症(STD、SID)全般に言えることですが、

「誰と治療すればいいのか分からない…(不特定多数)」性行為は

とても危険ですからね!