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10 核酸・遺伝子のおはなし(7)

2022年5月30日

セントラルドグマの補足説明、残りは翻訳ですね。

翻訳」という以上、

ある言語から別の言語に訳しているはず。

ここで行われているのは、

塩基言語からアミノ酸言語への「翻訳」です。

 

行われていること自体はとてもシンプル。

mRNAの塩基3つ並びに合ったアミノ酸を、

tRNAがリボソームに運んでくるだけです。

mRNAの3つ並んだ塩基は、

1つのアミノ酸をコードしています。

これを「コドン」といいます。

でも、単にコドンを見ただけでは

何が書いてあるかわかりません。

そこでtRNAの出番。

tRNAにはmRNAの塩基と手をつなぐ塩基があります。

こちらは「アンチコドン」と呼ばれますね。

コドンに合うアミノ酸を運んでくる台車

…それがtRNAと思ってください。

この塩基とアミノ酸の対応は、

コドン表で知ることができます。

例えば、AAAという塩基があったら。

左、上、右の3軸で、

Aの書いてあるところを重ね合わせるだけ。

見てみると…リシン(リジン)にたどり着きます。

ちゃんと、

tRNAがリシンを探してリボソームに連れていけば、

タンパク質の一部分完成です。

こうやってmRNAに書いてあった遺伝情報通りに

アミノ酸がつながれば、タンパク質の1次構造完成!

あとは「5 タンパク質」や

「6 タンパク質代謝」のおはなしです。

リボソームがタンパク質合成工場だということも、

しっかり復習できましたね!

以上、セントラルドグマの説明でした。

今なら『複製・転写・翻訳』といわれても、

何が起こっているかイメージできますね。

DNAからmRNAを作る転写は一方通行、

mRNAからタンパク質(1次構造)を作る翻訳も一方通行です。

セントラルドグマの理解として

「DNA→mRNA→タンパク質」と書かれることが多いと思います。

そのときやっていることは

細胞内のDNAの情報をもとに

アミノ酸をつなげてタンパク質を作ること。

要するに、たいそうな名前がついていますが、

細胞が生きていく、

自己を増やすことそのものの一側面が「セントラルドグマ」です。

タンパク質や酵素が大事と何回もおはなししてきた意味も、

前より分かってきたのではないでしょうか。

 

ちなみに。

細菌やウイルスでは

『逆転写』なんてことができるものもあります。

『逆転写』とは、RNAからDNAを作ること

当然、人間にはありません。

細菌やウイルスで、

RNAで設計図を保存しているものにあるのが逆転写です。

なぜこんなものがあるのか。

それは、遺伝子治療・遺伝子組み換えの話と関連してきます。

次回、おはなしすることにしましょう。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220530更新)